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Writing about the overlap of science and art

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脳卒中を発症した人は、言語を話す能力、あるいは理解する能力を失う場合がある。これはセラピーにより治療が可能だが、セラピーの開始が遅れればうまく行かないかもしれない。

フィンランドの研究者らはこのほど、言語能力の回復を促進する簡単な方法を見つけた。それは歌を聞くことだ。

脳卒中後に言語を話したり理解したりできないことは、人々の生活の質に大きな影響を与える。幸い失語症は言語療法で治療できるが、治療は脳卒中が起きた直後から始めなければならない。

しかし一部の患者は、病院に滞在する期間が長引くことで、言語能力回復の取り組みを始めるまでより長い時間を要することがある。また、その他の理由から簡単に言語療法を活用できない状態にある患者もいる。こうした患者は、脳卒中が起きた部分の生き残ったニューロンが新たな経路を形成できる貴重な時期を逃している。

オーディオブックよりも効果的?


神経可塑性(ニューロンの適応力と言える)を促す一つの方法は音楽だ。フィンランドの研究者らは、科学系オープンアクセスジャーナルのイーニューロ(eNeuro)に6月に掲載された論文でこの知識を利用し、脳卒中後の脳内で言語経路の再構築を開始するシンプルな方法をテストした。

研究者らは、最近脳卒中を経験した人に楽器を使った音楽、ボーカルを使った音楽(歌)、オーディオブックの中から脳卒中後の数カ月間に聞くものを選ばせた。研究者らは各患者が使用する音声ファイルの選定・提供に音楽療法士を採用したため、患者がどの種類の音声を聞いていたのかは知らなかった。

その結果、歌を聞いていたグループは楽器だけの音楽や朗読の音声のみを聞いていたグループよりも言語の回復度が高いことが判明した。この差の原因は何だろう?

この問いに答えるため、研究者らは同じ脳卒中患者グループ内でさまざまな種類の脳画像データを分析したところ、歌を聞いていた人の脳は言語の分野でより多くの新たな神経連絡を作っていたことが判明した。こうした患者の脳の構造や機能は、オーディオブックやボーカルなしの音楽を聞いていた人よりも、脳卒中後の変化によりうまく適応していた。

翻訳・編集=出田静

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