東京五輪は、昨年7月24日から8月9日の開催が予定されていたものの、新型コロナウイルス感染症の広まりを受け、昨年3月に延期が決定されていた。無観客で開催されることになった今回の五輪は、巨額の投資が行われたことを考えると、国民と主催者の両方にとって苦い展開となった。
先週初めの時点では、日本で新型コロナウイルスのワクチン接種を完了していた人の割合は22%で、全国の新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は1日平均3000人前後だった。
五輪開催都市にとって、深刻な予算超過はよくあることになっている。2020年の東京五輪の延期だけでも日本側には28億ドル(約3100億円)ものコストが生じたと見積もられていて、このうち3分の2は公的資金によりまかなわれた。これは、日本経済新聞と朝日新聞が明らかにしていた既存の予算超過に追加されたものだ。
東京が夏季五輪の開催地に選ばれた2013年当時、東京五輪・パラリンピック招致委員会は開催費用が総額7340億円になると見積もっていた。
大会延期前の2019年12月には、これが1兆3500億円に上方修正されている。しかしその後、会計検査院は最終的な費用総額がそれよりも著しく高い3兆円を上回る額になると指摘し、日本経済新聞や朝日新聞などがこれを報じていた。
これまで長年の間、五輪開催による厳しい経済的な教訓を学んできた都市は多く、過去の過ちを理解した街もある。ドイツのハンブルクがその顕著な例で、同市では2015年の住民投票の結果、2024年の夏季五輪の招致計画がコストを理由として拒否された。
英オックスフォード大学が2016年に行った調査や、デンマーク・スポーツ研究所(IDAN)が運営するウェブサイト「プレー・ザ・ゲーム(Play The Game)」によると、他の多くの都市は苦い経験を通して教訓を得てきた。
五輪のコストが膨らんだ事例はこれまでいくつもある。顕著な例として、予算を720%オーバーしたモントリオール夏季五輪(1976年)や、予算を266%超過したバルセロナ夏季五輪(1992年)がある。
近年では、リオデジャネイロ夏季五輪(2016年)のコストが140億ドル(約1兆5500億円)をわずかに下回り、352%の予算超過だった。ロンドン夏季五輪(2012年)のコストは150億ドル(約1兆6500億円)をわずかに下回り、予算を76%オーバーしている。