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2021.07.22 11:30

バーバリー、若年層で人気上昇? 米中依存に懸念も業績は回復傾向

Getty Images

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バーバリーが行ってきた事業戦略の見直しは、効果を上げ始めているようだ。2021年6月期の既存店売上高は、前年比90%増の4億7900万ポンド(約720億円)となり、新型コロナウイルスのパンデミック発生前の2019年同期の売上高(4億9800万ポンド)とほぼ同じ水準にまで回復した。

特に南北アメリカ地域では、既存店売上高は2年前と比べて2倍以上になっている。また、中国では55%以上、韓国ではおよそ90%の増加となった。既存店は6月末までに大半が営業を再開しており、いまだ閉鎖したままの店は3%だという(ただし、店舗の35%は営業時間を短縮)。

一方、バーバリーにとって大きな懸念事項といえるのは、自国を含む欧州と中東、インド、アフリカ(EMEIA)の各地域の既存店売上高が同期、前年比で38%減少したことだ。この高級ブランドが、いかに旅行客(特に米国と中国から)の買い物に依存しているかを明確に示す結果となっている。

ただ、調査・コンサルティング会社の英グローバルデータの小売業界アナリストはバーバリーについて、「店舗の平均11%が閉鎖していたにも関わらず、Q1には力強い回復をみせた」と述べている。

バーバリーは今年度の通期の見通しについて、ガイダンスに変更はないとしている。受注が増加していることから、卸売部門では上半期に約60%の増収が見込まれるほか、中期的には1桁台後半の売上高の増加と、マージンの「有意な」増加を見込んでいる。

また、同社のマルコ・ゴベッティCEOは今期の業績について、定価で販売した製品の売上高が増加したことを指摘。「新しいコレクションとキャンペーンにより、新たな、より若い顧客を獲得することができた」と説明している。特にレザー製品、アウターウェアなど、戦略的カテゴリーにおいて力強い成長が見られるとして、中期的な目標の達成にも自信を見せている。

若い世代の顧客の獲得を助けたのは主に、新作の「オリンピア」バッグのキャンペーンだ。モデルのケンダル・ジェンナー、過去にフォーブスの「30アンダー30」リストにも選出されたシンガーソングライターのFKAツイッグス、ラッパーのシャイガールを起用したキャンペーンは、SNSで大きな反響を得ている。

カーボンネガティブ実現に注力


バーバリーは「顧客の体験を変える」ことを新たなコンセプトに、それに基づく新店舗の開設を進めている。6月末にはその旗艦店の第1号となる店舗を、ロンドンのスローン・ストリートにオープンした。アジア地域では今後、このコンセプトに基づいた旗艦店を7カ所に開業する予定。向こう12カ月間に、さらに3店舗を設置する計画だという。

その他バーバリーは、社会貢献や環境保護活動を強化している。6月には、2040年までに「クライメート(気候)ポジティブ」(カーボンネガティブ)なブランドとなることを目標に掲げた計画を発表。実現に向けてバリューチェーンの見直しを行い、排出量を2030年までに46%削減すること、2040年までにネットゼロとすることを目指す。

また、LGBTQ+の若者たちを支援する英国の慈善団体アルバート・ケネディ・トラストをはじめ、複数の団体に寄付を行うなど、多様性と包括性の実現に向けた努力も継続している。

編集=木内涼子

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