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放送作家・脚本家、「くまモン」の生みの親。

photographs by Yansu Kim

放送作家・脚本家の小山薫堂が経営する会員制ビストロ「blank」では、今夜も新しい料理が生まれ、あの人の物語が紡がれる……。連載第10回。


この3月、講演会の依頼があって北海道旭川市に出張した。講演タイトルは「小山薫堂と考える 幸せのデザインとは」。

2019年10月、旭川市はユネスコ創造都市ネットワーク(デザイン分野)に加盟を認定された。日本国内では名古屋、神戸に続き3都市目、世界ではベルリン、モントリオール、ヘルシンキ、北京、上海、ソウルなど名だたる40のデザイン都市の仲間入りを果たしたのだ。

講演会は夕方からだったので、周辺を車で案内していただいた。なぜか「隣町の町長にも会ってほしい」と言われ、上川郡東川町の町役場も訪れたのだが、ひとりの職員に声をかけられ、合点がいった。

僕は、身の回りにあるものを新たにデザインし直し、社会をより豊かにすることをテーマとした『ニューデザインパラダイス』という知的情報番組を企画したことがある。放送はもう15年以上前だ。料理人のクリエイティビティの高さに惚れ込んで『料理の鉄人』を手がけたあと、今度はデザイナーという職業に魅力を感じ、彼らを主役にした番組をやろうとしたのである。

例えば「横断歩道」のリデザインはアートディレクターの佐藤可士和さんに、「名刺」はコピーライターの糸井重里さん、「マスク」はデザイナーの森英恵さん、「サンタクロースの衣裳」はビームス社長の設楽洋さん、「犬小屋」は建築家の隈研吾さんに……といった具合だ。2年半の放送で、作品は100作を優に超えた。

そのなかにアートディレクター藤本やすしさんによる「婚姻届」があった。ピンクを基調にし、観音開きにして必要事項以外にふたりの顔写真などが入れられるようになっている作品だ。放送直後、なんとこの新しい婚姻届を「ぜひ使わせてほしい」と連絡してきた自治体があった。それがこの東川町だったのだ。

「新・婚姻届」は放送からわずか半年(2005年10月3日)で使用されはじめ、同年翌月には「新・出生届」も作成された。いまも町民に好評を得ているという。

引き継がれる秀逸な「物語」


もともと東川町は「写真の町」として知られる。1985年に世界にも類のない「写真の町」宣言を行い、1年間の集大成と翌年への新しい出発のための祭典「東川町国際写真フェスティバル」を開催(継続中)。94年からは全国の高校写真部等に写真の創作を通じて新しい活動の場と目標、出会いや交流の機会を提供する「写真甲子園」をこれも毎年開催している。

日本食地方創生小山薫堂

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