その名も「水島パーキングデイ」。コンセプトは「まちのリビング」で、イベント主催者は「打ち上げ花火のような非日常のイベントではなく、日常の延長を意識している」と明かす。コロナ禍においても楽しめるイベントのヒントが詰まった一日を体験した。
世界各地に広がる「1日限りの公園」
「パーキングデイ」は、米国・サンフランシスコで始まったとされる取り組みだ。道路脇のパーキングメーター付きの駐車スペースに、人工芝を敷いたり、ベンチや観葉植物を置いたりして、まちなかに一日限りの「公園」を出現させる。このムーブメントは広がりを見せ、今では毎年9月の第3金曜に、世界各地の駐車場や空き地で開催されている。
世界中で都市化が進み、まちなかでくつろげるスペースは減った。中心市街地から緑は失われ、無機質な景観が広がる。パーキングデイの取り組みは、こうした流れに逆行する。まちのど真ん中、しかも駐車場を合法的に活用し、ゆっくりと滞在できる「公園」を生み出すというのだから、ワクワクせずにはいられない。
パーキングデイに誘ってくれたのは、筆者の大学院生時代の先輩でもある石田聖氏。長崎県立大学で講師を務め、公民協働、市民参画を専門に研究。米国西海岸に在住経験もある人物だ。「準備から参加すると面白いですよ」という石田氏のアドバイスを受け、当日午前10時半に会場の水島地区中心部の空き地に入り、準備を手伝った。
「水島パーキングデイ」の準備を進めるスタッフら
運営側として参加しているのは、地元のまちづくり系団体や大学生ら。皆で力を合わせてタープを張り、人工芝を敷きつめ、会場に装飾を施していく。その場のアイデアで当初の設計とは違うレイアウトにしてみたり、タープの張り方を工夫してみたりと、体を動かしながらのクリエイティブな作業が心地いい。