さらに嬉しいのは、時間のない忙しい親でも、高額なお金をかけなくても、ちょっとした心がけでできるような方法という点です。絵本翻訳も多い著者ならではのおススメ英語絵本など具体的アドバイスも即効性、実用性大です。言語教育というと『少し肩肘をはったお勉強』のように捉えられるかもしれません。
しかし、特に小さい子どもの言語獲得は母語であれ、第二言語であれ、普段から養育者がいかに反応性よく、感情性豊かに子どもと言語コミュニケーションを取ることができるか(養育者の話せない言語であっても関わることでいかに動機付け高く取り組ませてあげられるか)が肝のように思います。
本書には、そのような意味での理想的な養育者の姿勢が感じられます。たとえば『いかに楽しく○○するか』『無理はさせないこと』『見守る』といった言葉が散りばめられています。この子どもへ向ける優しいまなざしが、コミュニケーション能力の育ち、ひいては子育て全般においても普遍的なポイントのように思います」
「英語学習の3つの大切なゴール」
鹿田氏によると、家庭での英語学習を始めるにあたって最初に知っておくべき「英語学習の3つの大切なゴール」があるという。以下引用しよう。
大切なゴールその(1) 子どもが英語を好きになる
子どもが英語を身につけるために、何より大切にしたい目標はなんでしょう? それは、お子さんに「英語が好き」になってもらうこと。
「わかっているけど、好きになってもらうのがむずかしい……」
大丈夫。少なくとも英語に苦手意識を持たなくできたら、大成功です。英語の音を聞いていてなんとなく心地がよいとか、英語の文章があったら読みたくなるとか、英語圏の国の文化に興味を持つとか、英語に対して「ポジティブな関連づけ」を持ってもらうのです。
ちょっと話は違いますが、たとえば不眠症の人は「寝室」に「ポジティブな関連づけ」ができていない場合が多いのです。だから寝室に入ると、「今夜も眠れなかったらどうしよう……」と考えてしまい、ますます眠れなくなってしまいます。「寝室に入るとふかふかのお布団でぐっすり眠れる!」というプラスの体験をくり返すことが必要なんですね。英語学習も同じです。