実際に、動画が公開されると1億回以上視聴され、多くの声がこのハッシュタグの元に寄せられた。英国ではインスタグラムやツイッターやフェイスブックでトレンドNo.1を記録した。また生理用品の売上シェアにおいても、英国で8.1%アップ、ロシアで14.1%アップ、デンマークで9.9%アップしたという。
Bodyformは、トップではないチャレンジャーブランドであり、顧客である女性たちに徹底的に寄り添うことを基本戦略としている。ホームページに記載されているブランド・パーパス(ブランドの存在意義)には、「我々はV-Zone(女性のデリケート部分)のタブーを打ち破り、女性を汚名から自由にする」と書かれている。
Bodyformは、以前から、このような存在意義に沿う形での広告コミュニケーションで有名だったが、今回の「#wombstories (子宮の物語)」で一気に評価を高めたかたちとなった。
筆者は男性で、このストーリーを身をもっては理解できないが、しかし自分にとって大切な妻や娘は女性であり、また自分自身が母のWombから生まれて来たことを考えれば、十分にエモーショナルに反応できる内容だった。
また、今回のカンヌライオンズの傾向で言えば、「真実の吐露」が人々の心を動かし、広告コミュニケーションとしての成果も挙げていることが見てとれる。
以前このコラムでもご紹介した、バーガーキングの「カビが生えたワッパー」も、この路線で高く評価され、2部門でグランプリを獲得した。
コロナ禍を経て、人々は、嘘や飾り立てられたことや、意味もなく続いているタブーに、強い疑問を持つようになった。今後「真実の吐露」は、広告業界やマーケティング業界でも、重要なアプローチになりそうだ。
連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
過去記事はこちら>>