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先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま

「#ウームストーリーズ(#wombstories)」の動画より

世界の広告及びマーケティング業界で、大きな影響力を持つ広告賞「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル」が、6月21日から25日まで、すべてオンラインで開催された。審査の対象となったのは、コロナ禍で中止になった2年分、2019年7月1日から2021年1月31日までの作品だ。

審査対象となる部門(ライオン)は28あるのだが、例年、複数の部門でグランプリやゴールドを受賞する話題の作品が出現する。

今年は、英国の「Bodyform」という生理用品ブランド(国によっては「Libresse」という表記)の「#wombstories (ウームストーリーズ:子宮の物語)」という作品がダントツの話題を集めた。

カンヌライオンズ最古にして伝統の部門であるフィルム・ライオンや、最も革新的な試みに与えられ、賞としての価値も高いと言われているチタニウム・ライオンなど、4つの部門でグランプリ(最高賞)を獲得した。

さまざまな女性たちの「子宮」をめぐる物語


広告キャンペーンのメインとなる3分強の動画では、子宮をめぐる喜びと悲しみ、痛みと悦楽、愛と憎しみなどのさまざまな感情が、「真実の吐露」として、軽快な音楽に乗って描かれていく。


Bodyform: #wombstories

実写の間に、いくつかのタッチのアニメーションが用いられていて、全体としてリアルになり過ぎるのを防いでいる。そうした工夫を凝らしながらも、実写で描かれる部分は相当にリアルだ。そして全体としては、重くなり過ぎないトーンで描かれている。

欧米においても子宮をめぐる言説は、いまだ恥ずかしいもの、汚いものとしてタブー視されがちだ。流産や子宮内膜症などの問題に加えて、子供を持たないという選択を敵視する文化もあり、沈黙や恥の概念で息が詰まるような状態だという。

このキャンペーンは、さまざまな女性たちの声に耳を傾ける「クリエイティブ・リスニング」から始めたそうだ。多くの女性に向けて、「自らの子宮の物語を語って欲しい」と呼びかけ、彼女たちの声を基に動画がつくられている。

キャンペーン名にハッシュタグ(#)がつけられているように、この施策は、SNS上で話題として拡散されることを最初から意図して企画されている。

文=佐藤達郎

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