先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま

「ヘルシーハンズ・チョークスティック(Healthy Hands Chalk Sticks)」の動画より

緊急事態宣言にまん延防止等重点措置など、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、さまざまな要請が出されている。しかし、慣れからなのか自粛疲れからなのか、外出への歯止めはなかなか効きにくくなってきているようだ。

政府の担当者や都府県の知事らは、これほどお願いしているのに守ってくれないと嘆いているようだが、人の気持ちはそれほど容易くは変えられない。であれば、「自然と正しい行動をしてしまう」方法を考えるべきではないだろうか。それこそが、アイデアだと言えるだろう。もちろんそれを考えるのは、簡単なことではない。参考になるような広告の事例を紹介しよう。

チョークに石鹸成分を入れ込む


「Savlon」という英国の石鹸メーカーがインドで展開した「ヘルシーハンズ・チョークスティック(Healthy Hands Chalk Sticks)」という広告企画がある。世界最大の広告関連のフェスティバルであるカンヌライオンズ、2018年のクリエイティブ・エフェクティブネス部門のグランプリを受賞したものだ。


「Savlon Healthy Hands Chalk Sticks - English」

インドでは、食事を直接手で口に運ぶことが多いにもかかわらず、地方在住の子供たちには、石鹸で手を洗う習慣がなかなか根付かないという問題があった。その結果、手を洗わずに衛生状況の悪さが原因で死亡する子供たちが後を絶たなかったのだ。

Savlonはインドでは後発メーカーだ。親世代でも石鹸で手を洗うことの重要性を認知している人が少ないなか、広告でストレートに石鹸で手を洗うことの重要性を訴えても、なかなか子供たちの行動はを変えるのは難しい。

そこでSavlonは一計を案じた。授業で使用するチョークに、直接、石鹸成分を入れ込んでしまうことを考えたのだ。

インドでは、子供たちの多くが、チョークと個人用の小さな黒板を使って勉強している。すでにチョークを使って勉強した後は、水で手を洗い流す習慣があった。これを利用しない手はない。

文=佐藤達郎

マーケティングSNS
この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ