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先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま

Anton Petrus / Getty Images

コンビニやスーパーを頻繁に利用する自分からすると、日本で昨年7月から始まったレジ袋有料化は、正直なことを言うと、かなり面倒だ。

しかし、そう言ってもいられないことも理解している。無自覚にプラスチックごみを増やすことは、われわれ人類と多くの生物たちの母なる大地である地球を汚してしまうことになるのだから。

そう考えて、言いたい文句もしまい込み、ポケットにはレジ袋を忍ばせて、買い物に向かうことにも、すっかり慣れてきた。

レジ袋有料化に見られるような政策や、一部のカフェでのプラスティック製ストローの廃止などが実施され、生活者もそれを受け入れるようになるためには、この問題がいかに大きな問題であるかを、人々が自分ゴトとして認識し、行政や企業が実際の行動に移す必要がある。

そうしたことに寄与するコミュニケーション施策として、秀逸な事例が今回紹介する「トラッシュアイルズ(ごみ諸島)」だ。

フランス全土と同じくらい広い「ごみ諸島」

トラッシュアイルズは、コンテンツ&ニュース配信サイトのLADbibleが、NPOのプラスティック・オーシャンズと組んで行った施策である。カンヌライオンズ2018でもPR部門グランプリをはじめ、多くの賞を受賞した。


Trash Isles - PLASTIC OCEAN - Cannes Lions 2018

彼らが着目したのは、太平洋北部に形成されているプラスチックごみが集まって来てしまう地域。その分量は半端ではなく、なんと面積にしてフランス全土とほぼ同じになるという。

これらのプラスチックごみは、当然のように、海鳥や海洋生物の首に絡みつき締め上げる結果になるなど、悲惨な影響を与えている。

しかし、そうした事実をただ訴えても、自分ゴトとして興味を持つ人を増やすことは至難の業だろう。多くの人々は、情報に慣れっ子になってしまい、自らの行動を変えようとはしない。

そこで考えたのは、海に広がるごみの山を、ひとつの「国」に見立てたことだった。「面積で言うとフランスくらい広い」ということがおそらくヒントになったのだろう。


海に浮くプラごみを島に見立てた「トラッシュアイルズ(ごみ諸島)」(Trash Isles - PLASTIC OCEAN - Cannes Lions 2018より)

ソロモン諸島とかマーシャル諸島といった「島々」から成る国家は実際に存在する。であれば、「ごみ諸島」を国に見立てることもできるはずだと考えた。さらに「世界中の人々に国民として登録してもらうことで関心を喚起しよう」、そして「国と見立てたからには、国連に加盟を申請しよう」と、その考えは発展していった。

文=佐藤達郎

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