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Westend61/Getty Images

友人といても、心のどこかで寂しさが消えない。自分の居場所であるはずなのに、本音を言えない。みんなに合わせて生きるのはもう疲れた。特にコロナ禍の外出自粛で、突然「ひとり」の時間が増え、追い詰められた人も多いのではないか。

「私もずっと『孤独』でした」──。そう語るのは精神科医の和田秀樹氏だ。子どもの頃から、みんながわかってくれないという孤独感を抱えてきた彼は、孤独は人間の根源的な悩みである一方で、付き合い方次第で人格の成長にもつながると指摘する。

オンラインの繋がりがますます加速するこれからの時代に、どのように孤独と向き合っていけばいいのか。著書『孤独と上手につきあう9つの習慣 精神科医が伝えたい 誰にでもある「疎外感」との向き合い方』(大和書房)から一部抜粋し、新しい時代に必要な「孤独の作法」を探る。


現代病理の根にある「孤独」や「疎外感」


精神科医として私は、36年のキャリアを積み重ねてきました。いま、私がもっとも関心を寄せているテーマは「孤独」です。というのも、現代病理の多くが、孤独や疎外感が「根っこ」になっていると思われるからです。

それに加えて、2020年は「コロナ問題」という人工的な孤独状態が生み出されてしまいました。外出を控え、人との会話や接触は極力避けるという「新しい生活」は、まさに人間を孤独にさせるものでした。

私は、これはとても危険だと考えました。ただでさえ人は外出をしないことで、セロトニンという神経伝達物質が減り、うつ病になりやすくなります。さらにコロナによる不況で、この先の生活の不安を抱えたり、実際に失業して経済的困難に陥ったりする人も少なくない。そのうえ、つらさを共有したり、語り合ったりできないことでより追い詰められ、自殺する人がかなりの数で出るのではないかと考えたからです。

残念なことに自殺者数は増えました。さまざまな自殺予防対策が成功し、2019年まで10年連続で自殺者数が減っていたのに、2020年は2019年より750人多い2万919人が自殺で命を失っています。

しかし、かつて年間3万人もの方が亡くなっていたことを考え、私はもっと増えるだろうと思っていたのですが、2万人台でした。ネットを通じたつながりのおかげかもしれませんし、会社の人間関係で悩んでいた人が出社しないですむことで楽になったのかもしれません。

孤独や疎外感を恐れて社会に合わせていた人が、無理をしなくてよくなった、孤独とのつきあい方を覚えた、ということなのでしょう。

しかし、そううまくいかない人も、たくさんいるはずです。この「新しい生活」において、ITを用いた人間関係をつくれない人もいるでしょう。

また、酒類の売り上げが伸びていることから、アルコール依存症が増えているようです。ひとり飲みはアルコール依存症の危険因子です。実際、アルコール依存症、買い物依存症、セックス依存症、ギャンブル依存症といったさまざまな依存症は、孤独や疎外感によって起こるとさえ言える病気です。

よく考えてみてください。友達と連れだって買い物をしたり、仲間と一緒にギャンブルをしたりする人が、それらの依存症に陥ったという話はあまり聞いたことがありません。アルコール依存のようなものでも、キッチン・ドランカーのような「ひとり飲み」の人のほうがはるかに危ないのです。

それは、「もうやめたほうがいいよ」と、止められる人がいないからなのです。

和田秀樹著『孤独と上手につきあう9つの習慣』より

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