ベゾスが保有する資産の90%近くを占めるのは、所有するアマゾン株だ──米国の富豪の多くにとって、資産の大半を占めるのは自社株であり、巨額の資産を持つ一方で、彼らの納税額がわずかにとどまる大きな理由は、ここにある。
アマゾンが1997年に上場を果たして以来、ベゾスは自社株の売却によって、およそ270億ドルを手にしたとみられている。そして、損失で利益を相殺していなかったと仮定すれば、そのキャピタルゲインに対して収めた連邦税は、およそ60億ドルとみられる。
実際の金額は公表されていないが、近くCEOを退くベゾスの収支について、フォーブスの調査の結果、明らかになっていることの一部を紹介する(ベゾスは7月5日に退任し、取締役会長となる)。
売却益の使い道は──
ベゾスが最初にアマゾン株を売却したのは、上場の翌年だ。その後も何度かにわたって売却しており、1997年には42%だった持ち株比率は、現在10%にまで減っている。
一度に最も多くの自社株を手放したのは、2019年。離婚に伴う財産分与で、保有していたうちの4分の1に当たる1970万株(当時の株価で360億ドル相当)を、元妻のマッケンジー・スコットに譲渡した──これは、離婚に伴う財産分与の史上最高額となった。
では、ベゾスがアマゾン株を手放すことで得た利益は、スコットとその支援する慈善団体の手元以外には、どこに送られてきたのだろうか?
別会社への出資
ベゾスは2013年、約2億5000万ドルで米紙ワシントンポストを買収している。この年には7億1100万ドル相当のアマゾン株を売却した。2017年には、年間およそ10億ドル相当の株を売却し、自ら創設した宇宙開発会企業ブルーオリジンに投資していることを明らかにしている(7月には弟のマークとともに、同社が打ち上げるロケットに搭乗、宇宙旅行に出かける予定)。
宇宙開発関連のスタートアップに特化したベンチャー・キャピタルのスペース・キャピタル(Space Capital)によると、2000年にブルーオリジンを創設して以来、ベゾスが同社に注ぎ込んだ金額は、およそ75億ドルにのぼるとみられている。