本イベントは、一般社団法人ブロックチェーンコンテンツ協会が主催。2018年にグラコネ代表の藤本真衣が「Tokyo Blockchain Game Conference」として日本で初めて立ち上げ、3回目から協会が主催を引き継ぎ、その名の通りブロックチェーンを活用したゲームに特化したカンファレンスとして注目を集めてきた。
しかし、近年は「NBA Top Shot」に代表されるNFTを活用したスポーツコンテンツの流通が話題となり、バーチャル空間におけるデジタルアートがNFTを介したオークションにおいて高額落札され注目を浴びるなど、その仮想世界は必ずしもゲーム・カテゴリーに留まらず、4回目となった2021年は『Non Fungible Tokyo』の名称での開催となった。
今回は、数あるセッションの中から「dApps(分散型アプリケーション)」に着目。ブロックチェーンやNFTが、金融商品、もしくは投機の文脈で語られてきた時期から、ゲームはもとよりスポーツ、エンタメ、アートというコンテンツ流通への鍵となるのではないか、と読んだからだ。dAppsの現状と今後の可能性とは──。カンファレンスのレポートをお届けしたい。
ブロックチェーンならではのパラダイムシフトを
オープニングトークには、2007年にgumiを創業し、7月の定時株主総会での退任を発表した、ブロックチェーンコンテンツ協会代表理事の國光宏尚氏が登壇。2018年に60人ほどでスタートした本カンファレンスがアジア最大、日本最大規模に成長した点を挙げた。
國光氏は、ガラケーからスマホへの転換について振り返り、その転換期を境にコンテンツそのものが変貌を遂げた点を指摘。ガラケーに載っていたコンテンツがスマホ用に転用されたのではなく、スマホ向けコンテンツが新たに、いちから立ち上がった事例に触れ、ブロックチェーンもそのパラダイムシフトを起こすと述べた。
つまり、これまでのデジタルコンテンツは、そのままブロックチェーン時代にも重宝されるわけではなくて「ブロックチェーンならでは」の視点が重要だと説いた。世の中の潮流に乗りNFTに目を向ける我々は、この点を心に刻んでおく必要がある。特に市場がガラパゴス化しやすい日本で暮らす私たちは、ブロックチェーンやNFTは「ナチュラル・ボーン・グローバル」という特性を併せ持つ点を忘れてはならない。
また、NFTの欠点として多大なる電力消費量が指摘され「エコではない」という点についても國光氏は言及し、「1年以内に解決する」と締めくくった。この点については、今後どんな具体策が浮かび上がるのか、引き続き着目しておきたい。
「dApps」で押さえるべき4つの基本
注目される、分散型アプリケーション「dApps」とは(Shutterstock)
さて、この記事の本題は「dApps 」だ。 decentralized applications の略称で、日本語では「分散型アプリケーション」と言われている。ブロックチェーンを用いたサービスやゲームを提供するアプリの総称で、仮想通貨取引所bitFlyerによると、その特徴は以下の4つに分類することができる。
1.アプリの仕組みが公開されているオープンソースであり、ブロックチェーンのテクノロジーを使用していること
2. アプリをコントロールする中央管理者は存在せず、分散管理されていること
3. 自由に価値の交換を行うことのできるトークンの発行と、アプリ内にそのトークンの受け渡しを行う仕組みを作ることで、自動的にオペレーションが実行されること
4. アプリのアップデートのためにユーザーが合意形成を行う仕組みがあること