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2021.06.15 10:00

米国で「自己堕胎」のネット検索が急増、最高裁決定がきっかけに

Getty Images

米連邦最高裁判所は2021年5月17日、妊娠15週目以降の中絶を禁じた州法を復活させようとするミシシッピ州の提訴を審理することで合意した。現在は保守派の判事が過半数を占めている最高裁の判断によっては、人工妊娠中絶の権利を最高裁が全米レベルで認めた1973年の「ロー対ウェイド」判決が覆されかねない。

そんななか、保守色の強い州では、自宅で自ら中絶処置を行う方法をインターネットで検索する人が増えている。基本的な医療サービスである人工妊娠中絶を法規制する州や、実質的に制限する州が増加しているためだ。

グーグルトレンドデータを見ると、合意が発表された5月17日には米国全体で、人工妊娠中絶に関連する情報の検索が前日と比べて増加した。検索が集中しているのは、人工妊娠中絶の処置を受けることがすでに困難な州や、最高裁がロー対ウェイド判決を覆すような判断を下した場合に、中絶する権利が厳しく制限されることになる州だ。

一般的な中絶薬に関連した多数の用語とともに(たとえば、中絶薬「misoprostol[ミソプロストール]」の検索数は、ミシシッピ州で2021年に初めて最高を記録した)、人工妊娠中絶そのものに関する広範なトピック(「medical abortion[医学的な中絶]」など)の検索が急増し、グーグルで「急激増加」と表示されるほどとなった。急激増加とは、直前の期間と比較して、検索増加率が5000%を上回った場合を指す。

そうした人工妊娠中絶に関連したトピックが最も多く検索されているのは、人工妊娠中絶の処置を受けることが最も困難なアイダホ州やミシシッピ州、アリゾナ州、アラバマ州、ルイジアナ州などだ。

検索トレンドには、妊婦自身による中絶を意味する「self-induced abortion(自己堕胎)」(アイダホ州で一般的な検索ワード)への関心が高まっていることも反映されている。流産を誘発するために使われるとされるさまざまな植物の検索数が増えているのだ。

たとえば、「red raspberry leaf(レッドラズベリーの葉)」が450%増、「St John’s Wort(セイヨウオトギリソウ)」が400%増、「Mugwort(オウシュウヨモギ)」が200%増となったほか、「black cohosh(ブラックコホシュ)」も急激増加ワードとなった。こうした検索ワードが多く見られるのは、アラスカ州やユタ州、ウェストバージニア州、アーカンソー州などだ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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