ビジネス

2021.06.22 08:30

テレワーク革命の明暗と「ハイブリッドな働き方」に移行したグローバル企業


ダイバーシティとインクルージョン

ハイドリック&ストラグルズ社は、テクノロジーに関する意思決定の中心にインクルージョンを据えることが、スタッフを共通の目的意識のもとに集結させ、帰属意識を育むのにどのように役立つかという分析を行いました。

「多くの組織が、この1年間に身に付けた柔軟性とインクルージョンを損なわず、ハイブリッドな働き方に潜む落とし穴を回避するには、リーダーはデジタルツールの活用方法と組織内でのテクノロジーの導入方法を慎重に計画する必要があります」と強調しています。

イノベーション

グーグルやセールスフォースなどのテクノロジー企業は、イノベーションのモデルになり得るでしょう。「企業が、アジャイルなチーム、そしてアジャイルな働き方とは何かを再考するなかで、未来の従業員体験は柔軟な勤務体制により力強いものになり、また職場の再構築によりもっと夢中になれるものになるはずです」と、セールスフォース社の社長兼CEO、ギャビン・パターソン氏は語ります。

また、グーグルのサンダー・ピチャイ氏は次のように語っています。「こうした変化によって、ベストな状態で楽しみながら仕事ができるようになるのではと考えています。グーグルの社員の約60%は週に数日オフィスに出勤し、20%が新しいオフィスで仕事、20%が自宅で働くという体制を取っています」



慎重な変革

銀行の場合は、プライバシーや国境を越えたサービスの提供に対する規制が強化され、対応が慎重な傾向があります。JPモルガンでは、7月から交代制のオフィス勤務を再開し、出勤率を最大50%とする詳細なスケジュールを発表しています。

また、ゴールドマン・サックスのCEO、デービッド・ソロモン氏は、「革新的かつ協力的な実地体験を重視する当社のようなビジネスにとって、テレワークというシステムは理想的とは言えません。これがニューノーマルとは考えていません」と、述べています。一方、KPMGは、これは半永久的な変化であり、銀行にとっての「新たな現実」になると主張しています。

データ

マッキンゼーは、テレワークに対する従業員の意見、未来のハイブリッドな働き方に対する経営者の考え、テレワークの導入によって仕事はどのように変化するかについて調査を実施し、有益なデータを集めました。

包摂的な復興となるように


テレワーク革命から得られた大きな教訓は、進化は必ずしも直線的ではなく、公平でもないということです。オフィスを拡大する必要はなくなり、都心の過密状態は解消され、無限に広がっていた交通インフラ計画は見直す必要があるかもしれません。

このような最近の動向における大切な一本の筋があるとすれば、ハイブリッドな働き方革命は社会的格差を解消し、すべての人にとって包摂的な復興をもたらす可能性があるということ。対応を間違えず、正しく行動すれば。


(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)

連載:世界が直面する課題の解決方法
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文=Gayle Markovitz, Partnerships Editor, World Economic Forum

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