その先駆者たる、主にバーチャルスニーカーの制作を行うデザイン集団、『RTFKT(読み:アーティファクト)』に、彼らが考えるブランドの未来、既存ビジネス(彼らは“オールドワールド”と呼ぶ)で淘汰されるものを聞いた。
インタビューに答えてくれたのは創業者の3人、ベンワ・パゴット(Benoit Pagotto)、スティーブン・ヴァジリー(Steven Vasiley)、クリス・リー(Chris Le)とCOOのニクヒル・ゴパラニ(Nikhil Gopalani)だ。
Zoom取材をしたのだが、彼らのアイコンはNFTで高値を保ち続ける“クリプトパンク”のアイコン。リアルな顔出しをしている自分が“オールドワールド”に属しているような、そんな焦りも感じつつ、デジタルファッション、NFT、メタバースなど気になることを全部ぶつけてみた。彼らの発する言葉が一言一言とてもシャープなので彼らの言葉を拾う形で以下紹介していく。
──まず、RTFKTとは何者なのか?
ヴァジリー:RTFKTはブランドです。デジタルコレクティブを中心に扱い、まずはスニーカーから始め、ジャケットやトイなども手掛けています。すべてNFTベースでリリースしています。フィジカルな製品もあればスナップチャットなどを使ったARフィルターもあり、自分たちが考えるファッションブランドのあるべき姿を追求しています。
パゴット:ファッションブランドであり、ゲームやサイファイ(Sci-Fi、Science Fictionの略)ムービーも内包する。我々が考える未来のブランドは、クリエイターフォーカスのオープンソースであり、NFTを軸にアイテムやスニーカーを扱い、直接コレクターや顧客との接点を持つものです。
リー:創業者3名と最近ジョインしたCOO Nikhilはじめ、クリエイティブの力で未来を変えたいと考えている若いクリエイターたちとも活動しているアーティスト・コレクティブという側面もあります。
──なぜRTFKTのような新たなブランドが登場したのか?
ヴァジリー:既存のスニーカー市場で考えてみて欲しいのですが、そこでは転売を目的に一度も履かずにスニーカーを流通させている。であれば、フィジカルな靴は不要じゃないか、デジタル上での取引でもいいんじゃないか、という視点に立ち、ブランド作りを始めました。
仕組みとしてはメタバース上でコレクティブを発表し、アバターなどに着飾るなどデジタル上で楽しんでもらい、そしてリアルワールドでもARフィルターで試着したり、実際に身に付けたい人はフィジカルプロダクトとして購入できます。
先ほどアーティスト・コレクティブと言いましたが、我々はスニーカーの3Dモデルをオープンソースで公開し、若くやる気があるクリエイターにスニーカー作りに参加してもらえる仕組みを用意しています。RTFKTとクリエイターが50/50レベニューシェアできる新しいタイプのビジネスです。17歳だろうが、“オールドワールド”のビッグ・ブランドでのキャリアがあろうがなかろうが構わないです。