「中国はコロナの起源の議論を封殺」、元大統領補佐官が指摘

Photo by CDC/Getty Images

トランプ前大統領の大統領副補佐官を務めたマシュー・ポッティンジャーは5月30日、NBCニュースの番組に出演し、中国の科学者たちはパンデミックの起源について議論することを「政府によって組織的に封じ込められている」と述べた。

「もし、新型コロナウイルスが研究室で作られたものであれば、中国にはそのことを知っている人がいるはずだ」とポッティンジャーは述べ、バイデン大統領が90日間の再調査を命じたことで、中国の科学者たちが声をあげはじめることを期待すると話した。

中国政府は、ウイルスの起源について発言した人々を即座に排除していた。中国国営メディアは、感染者がまだ40人以下だった2020年1月1日に、武漢の当局がウイルスに関する「噂を広めた」とされる8人の人々を処罰したと伝えていた。

そのうちの1人の、武漢中央病院の李文亮(Li Wenliang)医師は2019年12月下旬、地元の海鮮市場を訪れた後にSARSのような症状を発症した7人の患者を治療した後、SNS上で同僚や友人に感染拡大の可能性を警告していた。

CNNによると、武漢の当局は李医師が警告を発した同じ日に、医療機関に未知の病気が広がっていることを伝えたが、「政府が未承認の情報」を公にしないよう警告し、その数日後に、李医師を「虚偽の情報を広めて公共の秩序を乱した疑い」で起訴していた。李医師は、2020年2月にウイルスで死亡した。

武漢の病院に勤務していたもう一人の内部告発者であるAi Fen医師も、2019年12月30日にコロナウイルスについて同僚に警告したが、病院の共産党書記から叱責されていた。

報道によると、中国政府はその後もパンデミックの起源に関するSNS上での議論を検閲しており、政府の公式発表に異議を唱えるジャーナリストを逮捕する事例も発生している模様だ。

ポッティンジャーは30日のNBCの番組で、「バイデン大統領の90日間の再調査で多くのことが学べるだろう」と述べた。「たとえ明確な答えが得られなかったとしても、世界中の科学者たちが、調査によって勇気づけら、新たな事実を明らかにするための根拠が得られるはずだ」と彼は話した。

新型コロナウイルスの起源をめぐる議論は先日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が、武漢の研究所で働いていた3人の研究者が、最初の症例が確認される数週間前に治療を受けていたと報じ、ウイルスが研究所から流出したという説の信憑性が高まったことで、沸点に達している。

中国は「米国の生物兵器開発」を非難


武漢のバイオセーフティー研究所の袁智明(Yuan Zhiming)所長は先週、中国国営メディアで、この説が「完全な嘘」だと述べたが、米国の議員らはこの問題について追加調査を行うよう求めている。バイデン大統領によると、米国の情報機関は、ウイルスが自然界で発生し動物から人間へと広がったか、研究所から流出したかのいずれかであると考えているという。

中国外交部の趙立堅報道官は12日の記者会見で、「世界中の科学者が支持する調査に協力するかどうか」という質問に対し、「米国の一部の人々は、事実やサイエンス、自国での失敗に目をつぶって、中国での追加調査を要求し続けている」と述べた。

趙報道官はさらに、米国政府が危険な微生物を軍事目的で研究しているとされるフォート・デトリック研究所に対し、国際的な調査団を受け入れるべきだと反論した。同研究所は、2019年にCDC(米国予防管理センター)から、廃水の除染に十分なシステムを備えていないと指摘され、数カ月間の間、閉鎖されていた。

「疑惑に包まれたフォート・デトリック研究所や、世界中の200以上の米国のバイオラボには、どんな秘密が隠されているのか?」と、報道官は指摘した。

編集=上田裕資

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