8. ブロードウェイを熱狂させた作品が日本上陸 『アメリカン・ユートピア』 2021年5月公開
トーキング・ヘッズの中心人物だったデヴィッド・バーンが、2019年にブロードウェイでスタートしたライブ・ショーを、スパイク・リーが映画仕立てにした作品。
グレーのユニフォームで身を固め、すべての楽器をワイヤレス化したミュージシャンたちが複雑なフォーメーション・ダンスを踊りながら驚異的な演奏を展開する。2時間近く歌いっぱなし、踊りっぱなしで息があがらないバーンのパフォーマーとしての強靭さにも痺れる。移民問題や人種問題(こちらはスパイク・リーの貢献大)に触れながら、バーンのアメリカ探しの旅は続いていくのだ。
9. 発掘された歴史的映像 『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』 2021年夏公開予定
ウッドストック・フェスティバルと同じ1969年の夏に、ニューヨーク市ハーレムで約30万人を動員した黒人音楽の祭典「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」が開催されていた。しかしイベントは忘れ去られ、記録映像は50年間、地下室の倉庫に埋もれていた。
本作はその幻のフィルムを、ヒップホップバンド、ザ・ルーツのドラマー、クエストラヴがまとめあげたもの。関係者のコメントを交えながら、『ソウル・パワー』にも顔を見せていたB.B.キングをはじめ、スティーヴィー・ワンダーやニーナ・シモンらが同胞を前に濃密なパフォーマンスを展開する。
なかでも『真夏の夜のジャズ』にも登場したマヘリア・ジャクソンとメイヴィス・ステイプルズのゴスペル・デュエット、ウッドストック・フェスティバルでもベスト・アクトとされた絶頂期のスライ・アンド・ザ・ファミリー・ストーンのパフォーマンスには打ちのめされる。
10. ビートルズの不仲説は? 『ザ・ビートルズ:Get Back 』 2021年8月公開予定
1969年公開のマイケル・リンゼイ・ホッグのドキュメンタリー『レット・イット・ビー』は、解散直前のビートルズの冷ややかなレコーディング風景を率直に捉えたものだった。しかし出来上がった作品に対してメンバーは「あそこまで雰囲気は悪くなかった」と不満を漏らし続けていたのである。
本作は『レット・イット・ビー』の素材を、『ロード・オブ・ザ・リング』で知られるピーター・ジャクソンが再編集した作品。たしかに予告編を見る限り、ジョンもポールもジョージもリンゴも楽しそう。この分だと、彼らにとって最後のライブ・パフォーマンスになった通称「ルーフトップ・セッション」も、爽快感溢れるものに模様替えするかもしれない。
もちろん生の音楽に勝るものはないけれど、コロナが収まるまではこうした作品のハシゴ見でフェス気分を味わってほしい。
連載:知っておきたいアメリカンポップカルチャー
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