4. プリンスの意外な一面 『プリンス/サイン・オブ・ザ・タイムズ』
同名アルバムのリリースにあわせてプリンスが行った、ヨーロッパツアーを中心としたライブフィルム。アルバムは、バックバンドのザ・レヴォリューションを解散させたプリンスが、ほぼひとりで作り上げた箱庭音楽だったけれど、本作では収録曲は大方同じでありながら、シーラ・Eをはじめとする腕利きメンバーと肉感的な一大ファンク絵巻を披露。観客を陶酔状態へと導いてくれる。
ヴォーカル、楽器演奏者としてのプリンスの天才性を知っている人も、本作で披露するキレキレのダンスには驚くかも。
5. ストーンズの「コク」を味わう 『ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト』
ザ・ローリング・ストーンズが2006年にニューヨークのビーコン・シアターで行ったチャリティ・ライブの模様を、『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』にもスタッフとして関わっていた巨匠マーティン・スコセッシが監督した作品。
会場はキャパ約2800席と、ストーンズにしてはかなり狭い会場であることから、普段のライブでは伝わりにくいバンドの「繊細さ」や「コク」を堪能できる。いつもよりちょっとマニアックな選曲も嬉しい。バディ・ガイ、ジャック・ホワイト、クリスティーナ・アギレラと、ゲスト選びも的確だ。
6. 祖先の地アフリカで 『ソウル・パワー』
1974年にアフリカのザイール(現コンゴ)の首都ザイールで、モハメド・アリとジョージ・フォアマンの伝説的なヘビー級ボクシング・マッチが行われたとき、アメリカとアフリカの親善をテーマにした黒人音楽イベント「ザイール74音楽祭」が同時開催されていた。
本作は、これまでアリの記録映画で断片的にしか使われていなかったライブの記録映像を、単独のドキュメンタリー映画として仕上げたもの。祖先の地であるアフリカで、スタジアムを埋め尽くした地元の人々と向き合うのは、ジェームス・ブラウンをはじめ、ビル・ウィザース、B.B.キング、ザ・スピナーズ、そしてサルサのセリア・クルース&ザ・ファニア・オール・スターズといった面々だ。
7. 神々しいまでのゴスペル・ライブを 『アメイジング・グレイス/アレサ・フランクリン』 2021年5月公開
「ソウルの女王」アレサ・フランクリンが、1972年にロサンゼルスのニュー・テンプル・ミッショナリー・バプティスト教会で行ったゴスペル・ライブを収録した作品。映像版の監督には『追憶』などで知られるシドニー・ポラックを起用している。音源は直後にライブ・アルバムとしてリリースされ、大ヒットを記録しておきながら、映像版はお蔵入りになっていた。
映像と音声がシンクロできない技術的トラブルに見舞われて、製作がストップしていたのだ。それを最新技術で完成させたのが本作。よく対象を賛美する際に「神」という言葉を使う人がいるけれど、ここでのアレサの神々しい歌を聴いたなら、そんなことはもう出来なくなるはず。