Got my mind on your money.

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新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)の影響で在宅勤務が広がるなか、世界中でサービス残業が増えていることが明らかになった。

米ADPリサーチ・インスティテュートが4月28日に公表した調査によると、週に20時間超無給で働いていると答えた従業員は全体の1割にのぼった。この割合はコロナ禍前の2倍だ。サービス残業の時間自体も長くなっており、1年前には週平均7.3時間だったのが今回は9.2時間となっている。

ADPは17カ国の生産年齢の成人計3万2000人あまりを対象に、パンデミックに直面した従業員の意識調査を実施した。

ジョージ・メイソン大学経営大学院のケヴィン・ロックマン教授(経営学)は「部下の実際の労働時間を知るのは管理職の責任だ。超過勤務をしたかどうかの報告を従業員任せにするのは怠慢であり、無責任だと言わざるを得ない」と批判する。

ロックマンによれば、こうした管理の仕方はとくに、少数派グループや一時雇用の形で働く人など、弱い立場の従業員に不利にはたらくおそれがある。自分の地位に安心感のある労働者は、時間外労働をした場合は遠慮なく伝える傾向にあると考えられるからだ。

ADPの調査によると、サービス残業の内容は、失職もしくは退職した同僚がしていた仕事の埋め合わせか、純粋にパンデミック中に増えた仕事への対応のどちらかだという。

地域別に見て、サービス残業がこの1年に最も増えたのは北米で、週平均9時間近くと1年前から125%長くなった。サービス残業時間が最も長いのはアジア太平洋で、週平均10時間近くにのぼっている。

ADPのチーフエコノミスト、ネラ・リチャードソンは、こうした傾向は生産性の大幅な向上につながっているものの、長期的には持続可能でないと指摘している。

一方で、今回調査した従業員のうち68%が過去1年に昇給もしくは賞与があったと回答した。北米では男性の63%、女性51%がこうした恩恵に浴している。

マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院のトマス・マローン教授は、経費の節約なども含めて、在宅勤務への切り替えによって得をした人たちは、オフィス勤務には二度と戻りたくないというのが本音ではないかと話している。

編集=江戸伸禎

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