たとえば、その代表的なものに「ワークライフバランスを大事に」という名目での残業時間削減がありますが、業務効率化が伴わない残業削減は、労働時間を減らすだけにしかならず、たくさん働きたい人が働きづらくなります。
そうならないために大事なのが業務効率化で、ITツールの導入やリモートワークの拡充など環境を整えることが必要になります。幸いこれらは、感染症対策としても、昨年から急速に進むことになりました。
すると次のステップは、ひとりひとりの従業員のパフォーマンスをいかに引き出すか、発揮しやすくさせられるか、ということになります。
働く人々は、腰痛、肩こり、眼精疲労、睡眠不足、冷え性など、ほとんどの人が何かしらの原因により、生産性(パフォーマンス)を低下させていることがわかっています。その改善によって会社全体のパフォーマンスを上げようというのが「健康経営」という取り組みで、DeNAでは、前述の不調のサポートのほか、あらゆる方法を模索してきました。
そこでいきついたのが、働く場所の最適化です。実は我々は、5年前からウェルネス&ウェルビーイングをテーマに、ハワイや北海道、沖縄で視察体験し、企画を重ねてきましたが、当時は「オフィスで働くのが当たり前」という考え方が根強かったため、推進させることができませんでした。
しかしいま、リモートワークが普及し、働く場所の自由度が上がってきました。そのひとつとして象徴的なのが、ワーケーションです。昨年からメディアで取り上げられることも増えています。
では、そのワーケーションは何がどのように良いのか。昨年、沖縄やゴルフ場で実行して見えてきたメリットや場所による違いを紹介します。
まず沖縄。1度目の緊急事態宣言が明けた後、慶應義塾大学の島津明人教授(ワークエンゲージメント研究の第一人者)監修のもと、NTTデータ経営研究所、JTB、JALと『ワーケーションが従業員の生産性と心身の健康の向上に寄与するのか?』をテーマに実証実験を行いました。
那覇空港から車で約80分のカヌチャリゾートに2泊3日で滞在。事前に7日間、事後に5日間行うデータ計測なども含め、全15日間の実験で、男女合わせて18名が参加しました。そこで主に5つのことがわかりました(詳細レポートはこちら)。
1. ワーケーションを経験することで、仕事とプライベートの切り分けが促進される(+25%)
2. 情動的な組織コミットメント(所属意識)を12.6%向上させる
3. 実施中に仕事のパフォーマンスが参加前と比べて20.7%上がるだけでなく、終了後も5日間は効果が持続する
4. 心身のストレス反応を37.3%低減させる
5. 活動量(運動量)の増加に効果がある(歩数が参加前と比べて2倍程度増加)