キャリア・教育

2021.05.11 08:30

校則を見直し生き抜く力を育てる カタリバが20年間実践してきたこと


カタリバのリーダーの1人は、2017年には岩手県大槌町で「教育専門官」として、教育委員会、学校、先生、生徒、保護者とともに、高校をどのような場所にしていくかを共に考える立場に就任した。

そして2019年以降、今村さんは最年少の女性委員として、文部科学省中央教育審議会委員の29人のうちの1人として選出されている(第10期、第11期)。今期は、「学校安全を考える」「教員免許のあり方を考える」というアジェンダに取り組んでいるという。

「新しい学習指導要領でも『予測不能な未来を生き抜く力』が求められていますが、日本の中高生の多くは自己肯定感が低く、自分が社会を変えられるという感覚を持てずにいます。

中高生にとって身近な社会である校則やルールについて、さまざまな意見と出会い、対話をして見直し、改善し、新たにつくり直すことは、『自分たちの手で何かを変えることができる』という大きな経験となり、自信につながったはずです」

学校という組織の課題は、日本の社会システムの課題の縮図でもある。学校で学んだ子どもたちは、将来、この社会の一員となる。身近な校則を問い直し、変えることができれば、子どもたちは「社会を変えられる」という確かな手応えも得ることができるはずだ。

私たち大人も、自分が所属する組織で、「何かおかしい」「変えたい」と思うことをどのように変えていくのか。またこの社会のなかで、いかにして自分たちの権利を守っていくことができるのか。そのヒントが、カタリバの活動から見つかりそうだ。

連載:教育革命の最前線から
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今村久美(いまむら・くみ)◎慶應義塾大学卒。2001年にNPOカタリバを設立。2011年の東日本大震災以降、子どもたちに学びの場と居場所を提供。2020年には、経済的事情を抱える家庭にPCとWi-Fiを無償貸与し、学びの支援を行う。文部科学省中央教育審議会委員。教育再生実行会議初等中等教育ワーキング・グループ委員。

文=太田美由紀

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