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常に大きなストレスを抱えて生活することは健康に悪いが、ストレス要因にはどうしても避けられないものもある。しかし、全てのストレスが悪いわけではなく、軽度なストレスは少しであれば良い効果をもたらすことがある。

カリフォルニア大学アーバイン校のスーザン・チャールズ教授(心理科学)は「少しのストレスは健康的なものだと聞くと、初めは変に思うかもしれない。ストレスは私たちの健康に不利益だと主張する研究は多く、それはもっともなことだ。ストレスは非常に有害なものになり得る」と述べている。

ネガティブなストレスを慢性的に抱えていると、うつ病や不安神経症、頭痛、記憶障害が生じかねず、心臓病のリスクも上昇するかもしれない。

しかし同時に、ストレスが全くない生活を目指すことが目標ではない。マウントサイナイ・アイカーン医科大学のレーチェル・イエフダ教授(精神医学・神経科学)は「少しのストレスは重要だ。課題への対処法を学ぶことは不可欠で、良い結果をもたらすことができる。それを克服できればなおさらだ」と述べた。近年の調査からは、軽度のストレスは脳にとってメリットにさえなる可能性が示されている。

有益なストレス


ストレスは、プレッシャーに対して脳や体内で反応を引き起こし、難しい要求に立ち向かうリソースを結集させる。ストレス要因には同僚との口論など軽度なものから、ウイルスの大流行により1年にわたり社会的孤立を経験するなど重度のものまである。研究者らが一部の人の間で精神機能を向上させるかもしれないと考えているのは、軽度なストレス要因だ。

複数の臨床検査では、短時間ストレス要因を経験することで一部の認知力が改善されることが示されている。

精神神経内分泌学に関する科学誌サイコニューロエンドクリノロジーに2019年に発表された論文では、107人の大学生を対象とした調査を実施した。調査では、一部の参加者を軽度のストレス要因(腕を冷たい水の中に3分間沈めること)にさらし、これを受けなかった参加者との間で注意力を比較したところ、ストレス要因にさらされていた学生の反応速度はそうでない学生に比べて早く、正確さは同程度だった。

チャールズの最近の取り組みからは、毎日のストレス要因も認知力に影響を与えている可能性が示されている。

チャールズ他研究者らが最近発表した2000人以上を対象とした調査研究では、8日間で友人や家族との意見の不一致など小さなストレス要因を経験していないと報告した人は、電話で実施された認知力検査の成績が平均的に劣っていた。(ただし、この認知力検査は記憶や帰納的推論など異なる種類の認知力を測定するものだったため、ストレス要因を経験していなかった人が劣っていた認知項目がどれかは不明だ)

翻訳・編集=出田静

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