ストレスは全てなくすべき? 軽度であれば認知力改善示す研究も

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ストレス要因が少ない人は結婚していない、働いていない、日常生活があまり忙しくないなどの傾向があり、誰かから受けたり誰かに与えたりする精神的支えが少ないと報告していた。

この結果からは、人々はこうした活動や社会的交流を通して認知スキルを行使していると解釈できる。チャールズは「人はあなたに反論したり質問したりする。あなたは会話についていく必要もあり、注意を払っていなければ人は腹を立てる。私たちが考えるよりも多くの認知力が必要とされる時もある」と説明した。

この説は、他の複数の調査からも裏付けられている。年齢による認知力の変化を研究しているコロラド州立大学のアリソン・ビーラク准教授は「私たちは脳と認知力に影響を与えるため、少量のストレスを必要としていると言える」と述べた。

ビーラクはこれまで研究を通し、人付き合いを続けることと認知力の向上の間に関連性があることを目にしてきた。ビーラクは、人付き合いを含む多様な活動や環境に携わるには注意力や意思決定などの認知スキルが求められると指摘した。

見る人次第で変わるストレス


ストレスの深刻さに加え、ストレスに対する認識も重要だ。大勢の前でスピーチをすることに強い闘争・逃走反応が出る人もいれば、少し不安を感じるだけの人もいる。

「ストレスで大事なのは、現実よりその人自身の認識だ」とイエフダ。イエフダの研究は、心的外傷性ストレスと、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に焦点を当てている。「特定の出来事の後にPTSDを発症する人とそうでない人の違いは、起きたことに対するその人の認識や、それに対する対処能力と大きな関係がある」(イエフダ)

顕著なストレスを感じているときでさえ、ストレスについてどう思っているかにより心身の健康への影響が変わることが証明されている。ストレスの多い出来事についてよりネガティブな認識を持つことが、心身の健康の悪化に関連しているのだ。

イエフダは「ストレスを感じることが良いことだという結論に達してほしくはない。これはあまりに極端だ。ストレスについては白か黒かで考えてはいけない。代わりに、世界とどのように関わるのが正しいのかを考える必要がある」と警告した。

翻訳・編集=出田静

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