「幹部や役員になる上で、職業上の資格はどれほど重要でしょうか? 私は公認会計士(CPA)の資格を持っていますが、公式な会計業務は何年もしていません」
全ての上級職に必要とされる職業上の資格などは存在しないし、常に候補者として考慮してもらうために取得できる資格もない。一部の上級職の職務内容記述には、必要条件として資格が記載されている場合もあるが、そうでない場合もある。また、たとえ資格が明記されていたとしてもそれが必須とは限らず、意思決定では重視されてさえいないかもしれない。
Cレベルや役員など、上級職に採用する人を決める意思決定者は複数いる。ある資格を要件とするよう主張したのはそのうち1人だけで、他の人は特に重視しておらず、候補者を決める際には考慮されない可能性がある。
上級職はその企業・業界・市場に合わせてカスタマイズされるものだ。同じ企業のCEOでも、異なる時期には異なる要件が設けられる。企業や業界、市場は、次にCEOを探すときまでに必ず変化しているはずなので、前の職務内容記述は古くて意味がないものとなる。
求められる資質を長々と記したリストにこだわっていたら、あなたは本当は考慮される価値がある候補者なのに、応募をやめるかもしれない。あるいは、実際は重要ではない資格を集めようとして、もぐらたたきのようにコストや時間がかかる無益な努力を始めてしまうかもしれない。
上級職や役員職の役割を求めている場合は、それぞれに合わせた独自の戦略を作ろう。応募書類や面接準備をカスタマイズし、特に次の3つの問いに対処すること。
1. なぜあなたなのか
あなたの経験や専門性、スキルの中で、幹部や役員の役割に重要なものは何だろう?
ポートロフォリオアナリストが最高財務責任者(CFO)のポジションを目指している場合、人材管理や財務分野での専門性、取り組んだことがある全社的なシステムなど専門分野や特定のスキルをアピールできるかもしれない。また業界に関する深い知識を活用し、資本調達の戦略やその市場に特有の税金対策などを理解できるかもしれない。モデルやリスク管理プロセス、会計システムなどを最初から構築した経験があれば、会社を成長させるのに適した候補者である可能性もある。
リーダーシップに至る道は複数存在する。どちらも一流大学の出身で公認会計士の資格を持ち、四大会計事務所での監査の経験もあるなど、経歴は他の候補者と似ていても、結果が同じになることは絶対にない。
キャリアの中で積み重ねた見識は、あなたの仕事の手法や創造性、知性に基づくはずだ。資格は表面的なものなので、自分独自の価値について深く掘り進める必要がある。