Living With Flowers Every Day

先日、ハーバード大学経営大学院のマイケル・E・ポーター教授の賞を受賞した経営者の勉強会に参加してきました。

この会では毎年、教授が話をされるのですが、今年のテーマは「CEOの時間管理」について。大企業のCEO 27人が24時間をどのように使っているかを3カ月間追跡して集めた、延べ6万時間分のデータをベースにした内容でした。

激務をこなすCEOの時間の使い方をここまで詳しく追跡したのは初めての試みらしく、刺激的な情報に聞き入る中、花屋として疑問を感じたり、世界のCEOの方々にすすめたくなるアイデアが湧いてくることが多々ありました。

身体と同じく「心」のケアも

まず印象に残ったことが、CEOは健康を維持すると共に、家族や友人との関係を守る必要があると認識していて、一日当たり45分を運動にあて、約3時間を家族と過ごすなど「人間らしい生活」を保つよう習慣付けているということでした。そこで私はふと、家族と3時間過ごす場所には、花は飾ってあるのだろうかと想像しました。

花を飾るという行為を分解すると、花屋に行って花を選ぶ、家に帰って花瓶を用意して花を活ける、水を足すなどメンテナンスを行う……といった一連の行為が隠れており、換言すると、それだけの手間暇をかけるという愛情が凝縮されているととれます。



そして、花を見る人は、その花の奥に、飾ってくれた人の愛情を無意識のうちに感じるのです。女性であれ、男性であれ、職場で激務をこなすCEOが家族と過ごす場所には、愛の象徴でもある花が飾ってあって欲しい。そうして愛情を感じ“心”メンテナンスをすることは、45分の“身体”のメンテナンスに劣るものではないはずだと感じました。

人工物と自然物のバランス

また、データによると、CEOは平均で業務時間の28%を一人で過ごしているものの、そのうちの59%は1時間に満たない細切れの時間になっているようです。ポーター教授は、できれば別荘などリラックス出来る場所でまとめて時間を確保する必要があると説かれました。

オフィスは通常、壁や窓、机、パソコン、電球、グラスなど、得てして定規やコンパスで描いた“人工的な線”で構成されたものに囲まれていることが多いものです。

しかし、世の中に無造作に存在する線(糸でも紐でも)は、両側から引っ張らないと直線にはなりません。つまり、直線とはストレスのかかった状態であり、正円は内側からプレッシャーをかけた状態。そうした造形に満ちたオフィス環境は、不自然であり人間の本能に則しているとは言い難いです。

とはいえ、別荘まで行くのはそこそこの時間がかかるもの。であれば、オフィスの中に極力たくさんのグリーンや花を置くことが、少しでも“非人工的”でリラックスできる環境づくりに役立つのだと思います。

文=井上英明

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