──最近は転職もキャリア形成の一環のように捉えられてきています。転職2.0、もしくは新しい時代の転職は、お二人であればどうリフレーズされますか?
村上:実は転職2.0というタイトルはすごく迷いました。色んな言い方ができると思いますが、今ここで「就社」が終わるタイミングでしょう。リフレーズするのであれば、 “日本型雇用の終焉”。そこから新しい世界が始まるという、コントラストがあるように見えます。
篠田:転職は “関係性のフラット化”と言えるのではないでしょうか。以前は仕事と自分の関係性、あるいは会社と自分の関係性において会社側に圧倒的に力があってそこに委ねる。そして正しい委ね先を探すというのが過去でした。
それが、お互いの構えとしてどんどんフラットになってきています。もはやフラットであるという前提の企業も出てきました。転職はその現れの一つであって、会社選びから入社するときも常にフラットな関係であるということ。リンクトイン創業者のリード・ホフマンさんのアライアンスでも言及されていますね。
村上:組織と個人の関係をフェアにするという言い方もできるかもしれないですね。
今回のインタビュー対談の様子
──採用活動において、その人のコアな部分を引き出す、あるいは余白を見出すためには、従来の面接やレジュメ以外にどんな要素が必要になってくるでしょうか?
村上:本にも書きましたが、やはり人との繋がり、ネットワークを自分の周りにしっかり作っておくことですね。仕事において、必要な弱いつながりをしっかりと作っておくということはかなり重要かなと思っています。
面接やそのときの限られた時間で、人を見るというのは意外と大変なんです。カルチャーフィットと言われますが、企業自体も人となりを伝えていかなければいけない。そのマッチングが転職なんですね。
そうなるとお互いがカジュアルに意見交換をしたり、もしくは社員を通じて様々な形で接点を持ったりすることが必要になります。実は私がリンクトイン入ったのも、10年来の知り合いとのやりとりが年に2〜3回あったんですよ。 “ヤフーの村上” に日本のプロダクトはどうすればいいという相談をいつも受けていました。一度ランチしようと誘われて、日本に来る度にお会いする関係性でした。
そこからカントリーマネージャーの件で、声をかけていただいたんです。もちろんリンクトインの存在は知っていたし、社員の方とも何度も話していい会社だなと思っていたので、必要なのはそういったゆるい繋がり。アライアンスですね。