I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Ali Balikci / Anadolu Agency / Getty Images

米グーグルのウェブブラウザー「Chrome(クローム)」について、シークレットモードでもユーザーの情報を収集し、プライバシーを侵害しているとして起こされた訴訟で、カリフォルニア州サンノゼの連邦地裁判事は今月、棄却を求めたグーグル側の申し立てを退けた。

訴えはユーザー3人が集団訴訟として起こしたもので、Chromeでシークレットモードを使ったことのある大勢のユーザーに影響を及ぼす可能性がある。原告側は、グーグルが通信傍受に関する連邦法とプライバシーに関するカリフォルニア州法に違反していると主張し、ユーザー1人あたり約5000ドル(約54万円)の損害賠償を求めている。

いったい何が起きているのか。この訴訟で問題にされているのは、言葉の意味をねじ曲げるというテクノロジー業界の悪しき慣行である。テクノロジー業界は、「シークレット」でないどころか、ユーザーのウェブ閲覧記録を分析のために追跡・収集できるようにしているものを、「シークレットモード」と呼んでいるのだ。これをうそと言わずしてなんと言おうか。

グーグルの言い分はこうだ。Chromeでは、ユーザーがシークレットウィンドウを開くたびに、「シークレット(incognito)とは、見えない(invisible)という意味ではありません」と表示している。各ウェブサイトは、ユーザーのアクティビティーについての情報を収集できる──。

残念ながら、ここには問題がある。この機能は「シークレット(incognito)モード」と名づけられており、incognitoはほとんどの辞書で「気づかれないように自分の身元を隠すこと」と定義されているからだ。つまり「見えない」とほぼ同義なのだ。

ある企業が製品やサービスの説明でincognitoという言葉を使っている場合、サービス利用規約の中で難しい法律用語で説明していようが、毎回警告しようが、あるいは業界の人なら誰でも本当の意味を知っていようが、多くの人はそれを「プライバシーが守られる」と解釈するだろう。

編集=江戸伸禎

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