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I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Alexander Kirch / Shutterstock.com

アップルが最近、Appストア上のアプリに義務付けたプライバシーラベルの表示は、開発者にとっては悪夢のような措置で、プライバシー侵害を長年にわたり続けてきたフェイスブックなどの企業の反発を呼んでいる。フェイスブックはこの問題をめぐり、アップルと全面的に争う意向を示した。

アップルのプライバシーラベルを見つけるのは簡単だ。Appストアで特定のアプリを検索するか、自分のアカウントページからダウンロード済みアプリのページへ移動し、下へスクロールすると見つかる。ラベルは明確で、理解しやすく、これを読めば、そのアプリによる個人情報の扱いの概要が分かる。このようなラベル導入に反対するということはつまり、自社の個人情報の扱いをユーザーに対して知らせたくないということだ。

これは、1990年に米国で導入された食品の栄養成分表示と比較できる。栄養成分表示の導入は当初、消費者を混乱させるだとか、特定の添加物を含有せざるを得なくなったり、食品に含まれる脂肪分の量などの問題に対処せざるを得なくなったりするとの声が、多くの企業から上がった。しかし時間が経つにつれ消費者は成分表示に慣れ、注意が必要・不必要な成分は何かを学んだ。そして今では、内容物に関する詳細な情報を表示していない食品を購入する消費者は少なくなった。

プライバシーラベルに関しても全く同じことが言える。ユーザーは長年に渡り、アプリやソフトウエアを利用することで自分のプライバシーにどう影響し、どの個人情報が何に使われるを知らないままインストールせざるを得なかった。詳しい情報を知りたければ、アプリの内部に開発者が適切と判断した方法で表示された情報を確認するほかなかった。結果として、その情報を確認しようとするユーザーはほぼ皆無で、もし見つけたとしても、それを読解し、対象となる具体的なデータや、何が危険にさらされているのかを理解することは難しかった。

多くの企業はこうした不明瞭さや曖昧さを利用し、巨大事業を築き上げてきた。アップルがプライバシー情報の明確化を義務付け、今後もアプリ間のデータ交換の詳細情報を表示させるなどしてこの方針を強化する意向を示していることは、食品の栄養成分表示と同じ影響を消費者に生む。当初は懸念や怒りの声が上がるだろうが、時間が経てばユーザーは各項目の内容を理解し、アプリ同士を比較できるようになる。例えばiMessageやシグナルではなくワッツアップやフェイスブックのインスタントメッセンジャーを選択したらどうなるかを、直ちに理解できるようになる。これに反対して情報開示を拒むことはすなわち、人々の無知の利用を続けようとする試みだ。

編集=遠藤宗生

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