経済・社会

2021.03.09 10:00

メーガン妃の「破壊的」告発、英米で大波紋 王室の人種差別明かす

米CBSが7日夜放送した、オプラ・ウィンフリーによるメーガン妃インタビュー(Photo by Harpo Productions/Joe Pugliese via Getty Images)

ヘンリー英王子の妻メーガン妃が、王室所属時に自殺念慮に悩まされていたことや、王室内で夫妻の第1子の肌の色の濃さを懸念する声が上がっていたことを明らかにしたことを受け、米国各界の著名人からは王子夫妻を擁護する声が上がった。一方、英国での反応はこれとは対照的に賛否両論が入り交じったものとなっている。

米CBSが7日夜放送したインタビューで、メーガン妃はインタビュアーを務めたオプラ・ウィンフリーに対し、長男のアーチーちゃんが誕生した際、「肌の色がどれほど濃いかについての懸念と会話もあった」と語った。メーガン妃は黒人の母親と白人の父親を持つ。

メーガン妃はまた、まだ王室メンバーだったころ、自分が死ねば「皆にとってすべてが解決する」と考えたことがあったと告白。治療を受けようと思い立ったものの、王室内の「高位の」人物から治療は受けられないと告げられ、王室人事部門にも取り合ってもらえなかったと語った。

インタビュー放送後、女子テニス界のスター選手であるセリーナ・ウィリアムズはツイッターで、メーガン妃を「無私の友人」と呼び、「彼女の言葉は、彼女が経験してきた苦痛と残酷さを物語っている。組織やメディアが女性や有色人種をおとしめ、私たちを軽視し、壊し、悪者扱いするために使ってきた性差別や人種差別については、私もじかに経験している」との声明を発表した。

詩人のアマンダ・ゴーマンは、メーガン妃は英王室にとって「新時代での変革と再生、和解に向けた最高の機会だった」ものの、王室はメーガン妃を冷遇したことでその機会を逃したと指摘。キング牧師の娘で市民権運動活動家のバーニス・キングはさらに手厳しく、「王室は人種差別がもたらす破壊と絶望から身を守る盾とはならない」とツイートした。

英メディアは、今回のインタビューは英王室にとって大きな痛手となったと報道。BBCの王室担当編集委員ジョニー・ダイモンドは、夫妻の長男をめぐる人種差別疑惑について、「破壊的なものかもしれない」と指摘し、今回のインタビューは「王室にとって最悪のシナリオの領域」に入ると記した。

一方、過去にもメーガン妃批判を繰り返していた英テレビ司会者のピアーズ・モーガンは、夫妻への同情心は一切示さず、「このインタビューは、女王と王族に対する完全に恥ずべき裏切りだ。これほどまでの悪質かつ破壊的、利己的なナンセンスがメーガン妃から発せられることは予想できるが、ヘンリーが彼女に対して自分の家族と王室をこのようにおとしめることを許すとは、恥ずべきことだ」とツイートした。

王子夫妻は問題の発言をした人物の名指しは避けたが、オプラは翌日、CBSのニュース番組「ディス・モーニング」に出演した際、ヘンリー王子はこの発言の主が祖父母のエリザベス女王でもフィリップ殿下でもなかったと語ったことを明らかにした。

翻訳・編集=遠藤宗生

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