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I study technology disruption in individuals, companies and societies.

Photo by Carsten Koall/Getty Images

表題の問いへの答えは、眼鏡などの端末への拡張現実(AR)技術搭載にあるかもしれないと考えるアナリストは多い。こうした端末はスマートウオッチのように、当初は多くの機能をスマートフォンへの接続に頼り、次第に独立機能を増やすという手法をとることが予想される。

今やスマホに対する期待は薄れる一方だ。世界でのスマートフォン普及率はすでに非常に高く、成長の余地がほとんどない。2020年第4四半期にアップルがスマホ販売台数で世界一の座に返り咲いたことは単に、iPhoneブランドの健全さ、そして米政府による他メーカーに対する制裁の影響を裏付けたにすぎない。

業界は再び、アップルの次の一手に注目することだろう。アップルは携帯電話のインターフェース革命を主導し、スマホを誰もが肌身離さず持ち歩き長時間利用するデバイスとして普及させた。

スティーブ・ジョブズが2007年1月9日に初めてiPhoneを披露した発表会を今見返すと、非常に面白い。当時のデバイスの外観は今では古臭く感じる一方で、ユーザーインターフェースや、今なお一部から批判されているハードウエアとソフトウエアの融合などのデザイン哲学や基本原理は今も生き続けている。

今の状況は、2007年1月のあの日からほとんど変わっていない。アップルはそれまで携帯電話と呼ばれていたデバイスを再発明し、最もユビキタスで恒久的なインターフェースへと変えた。多くの人が自分の1週間のスマホ使用時間を目にして驚くほどだ。

現在のスマホはカメラの高性能化やデータ容量の拡大、大画面化が進み、ゲームや動画も楽しめるようになっているが、基本的にはアップルが当初思い描いた形で使われ続けている。

ユーザーインターフェースの勢力図を塗り替え、現実世界に情報を投影する眼鏡のような新規デバイスに世間の大きな注目を集めることを考えられるのは、やはりアップルだろう。これまでに行われてきたこの種のデバイスの開発は、完成せずに終わったり、製品が広く普及しなかったりといった結果に終わった。

アップルが真剣に仮想現実(VR)の追求を決めれば、私たちがテクノロジーと情報との間に持つ関係ががらりと変わる様子を目の当たりにすることとなるかもしれない。

とはいえ現在のアップルは、スティーブ・ジョブズがいたころのアップルとは異なる。ティム・クックは、アップルを時価総額の面でジョブズも想像し得なかった世界一の強大企業へと育て上げただけでなく、イノベーション面でもはるかに野心的で(多くの分野や製品の再発明)、プライバシーについても徹底的に追求している。

クックのアップルはほぼあらゆる面で、スティーブ・ジョブズ時代よりもはるかに強大な企業になっているのだ。

アップルは本当に、スマホを一日中ポケットの中にしまい、ほとんどいじらなくなるような生活を実現する製品を構想しているのだろうか? 近年のテクノロジー史を振り返ってみると、2007年1月9日のiPhone発表ほど私たちの生活を変えた出来事はなかった。アップルは、リーダーとしての立ち位置を使い、これに匹敵する影響を私たちに与えようとしているのだろうか?

編集=遠藤宗生

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