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2020.03.10 20:00

アメリカ初の1兆ドル企業を育てたCEO ティム・クックとは何者か?

アップルCEOのティム・クック(by gettyimages)

アップルCEOのティム・クック(by gettyimages)

2018年8月、アップルは初めて時価総額1兆ドルを超えた。この結果を実現させた中心人物が、CEOのティム・クックだ。創業者スティーブ・ジョブズの死後、アップルを率いてきたティム・クックとはどのような人物なのだろうか。

アップルCEO、ティム・クック


1960年、アラバマ州に生まれたティム・クック。IBMやコンパックに勤めた後、98年にアップル入社。2005年にCOOとなり、アップル創業者であるスティーブ・ジョブズが、病気治療で休職中の09年と11年にCEO代行を2度務めた。

ジョブズ引退後の11年8月、正式にCEOに就任。以降アップルを率いる一方で、05年からナイキの社外取締役も務めている。

18年8月2日、アップルの株価は終値207.39ドルの過去最高値を記録。クックはアメリカで初めて、時価総額が1兆ドルを超えた企業のCEOとなった。

19年12月には3年ぶりに来日。東京のアップルストアを中心に、開発者や学生との交流を行い、慶應義塾大学医学部やアプリ開発企業を訪問。ツイッターで、ミュージシャンの星野源と居酒屋に訪れている写真を公開したことでも話題となった。


経営者として優れた手腕を発揮


アップルの業績に貢献した実績のひとつに、オペレーションの改善がある。クックはアップル入社後、自社工場や倉庫を閉鎖し、外部製造業者への切り替えを実施。ジョブズの下で新製品開発に注力していたアップルにとって課題だった、在庫管理やサプライヤー管理を細やかにすることで効率化を図った。

こういった堅実な経営手腕が評価され、ジョブズの信頼を得たと言われている。

CEO就任後の15年には「Apple Watch」の販売を発表。iPhoneなどの主力製品だけでなく、アプリやクラウド、音楽ストリーミングなどのサービス部門でも利益を伸ばし、収益を多様化させている。

環境問題や慈善事業に積極投資


クックは環境問題にも積極的に取り組んでいる。環境関連の投資額は数十億ドルに達し、サプライチェーンを含め、アップルでは全てのビジネスの工程で、再生可能エネルギーの使用を推進。

18年4月には、世界43カ国にあるアップル直営店、オフィス、データセンター、共用施設の全てで、再生可能エネルギーを使用していることを発表した。

また、クックは15年には約650万ドル、18年に約500万ドルのアップル株を慈善団体へ寄付している。11年には従業員が寄付を行った際、アップルも同額の寄付を行う「Givingプログラム」を導入し、企業としての慈善活動も推進し企業イメージの向上にも繋がった。

開発者のジョブズ、経営者のクック


iPhoneを生み出したジョブズは、製品を生み出すことに長けていたが、クックは経営面でアップルを成長させたと言える。

14年には、自身が同性愛者であることを公表。白人男性で占められていた上層部に、積極的に女性や有色人種を起用し、「移民なしでアップルは存在しなかった」と発言するなど、多様性を尊重する企業としてのブランド価値を高めている。

文=齋藤優里花 写真=gettyimages

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