重要性が高まる「ハイブリッドクラウド」の基礎知識

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「そうした企業は、自社運用のデータセンターに多額を投資しているが、クラウドで得られる新たな可能性に大きな利点があることを知っている。最高経営責任者(CEO)が最高情報責任者(CIO)に対して、決して尋ねるべきではない質問がある。『当社はどのくらい速くクラウドに移行しているのか』という質問だ。聞くべきは、『クラウドで運用した場合に、当社と顧客が新たなイノベーションによってメリットを享受できるビジネスアプリケーションはあるのか』だ。アプリケーションによっては、すぐに『イエス』と答えられる場合もあれば、現時点では『ノー』の場合もあるだろう」

「今後数年間は、自社運用のデータセンターから、クラウドなどのハイブリッド環境へ移行するための橋渡しをするソフトウェアソリューションの成長が続くとみられる。いずれは、そういったデータセンターは減少し、ハイブリッドクラウドも見かけないようになるだろう。しかし、アプリケーションがクラウドに移行したとしても、それらのアプリケーションを統合して新たな事業価値を提供するというニーズは成長し続けるだろう」

したがって、成功するためには、中核となるインフラにそれなりの投資を行う必要が出てくるだろう。つまり、うまく回り始めるまでには時間と忍耐が必要ということだ。

アムドックス(Amdocs)で事業部長を務めるAvishai Sharlinは、「ハイブリッド環境を運用する際に、まず検討すべきは自社のオペレーションだ」と話す。「『リフト&シフト』(リフトは、アプリケーションをそのままクラウドに移すこと。シフトは、アプリケーションをモダナイゼーションすること)の機会を検討することと、アプリケーションをどこで『コンテナ化』できるかについて、検討してほしい」

「組織は、既存のアプリケーションをコンテナ内で実行できるよう修正し、業務の簡素化を目指すべきだ。次に、アプリケーションをどうやって規模拡大するかをプランニングすることになる。オープンソースの『Kubernetes』を標準の方法で使用する予定なのか? それとも、ほかの手段やテクニックが必要なのだろうか? 

採用するアプローチによって、最適な進め方が決まってくるだろうし、開発の方向性やツール費用の変化についての見込みも見えてくるだろう。全体的なエンドツーエンドのハイブリッドデザインとアーキテクチャの一部として、セキュリティや相互運用性など、ほかにも検討すべき側面はある。そうした点が、組織の進化とスピード、アジリティを決定づけるだろう」

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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