途上国等での新型コロナワクチン輸送、期待されるドローンの利用

(c) Zipline

ドローンは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)との闘いで重要な役割を果たしている。その役割とは、ワクチンが最も必要とされているコミュニティへの輸送だ。

ワクチンを入手できない状況を伝えるメディア報道のほとんどは、多くの国でワクチンが絶対的に不足している原因として、生産上の限界や価格設定だけを論じており、物理的なワクチン輸送に伴う実際の物流面の課題についてはほとんど触れていない。

米国サンフランシスコを拠点とするドローン輸送サービスのジップラインは、自社の経験と革新的技術を活用してこの問題に真っ向から取り組んでおり、僻地への新型コロナワクチン輸送を支援している。

途上国へのワクチン普及を進める国際組織「Gaviワクチンアライアンス」は2021年2月下旬、同組織が世界保健機関(WHO)とともに進めるワクチン共有の国際スキーム「COVAX」を通したワクチンの輸送支援に関して、ジップラインがガーナ政府と提携したと伝えた。

その報告によれば、ジップラインは、地上でのワクチン輸送で重要な役割を担う米物流大手UPSと連携。医薬品輸送用の自律型ドローンと、戦略的に配置された「ネスト」(ドローンが離着陸するための拠点)を用いて、ガーナ全土でのワクチン配送を支援するという。

報告の著者であるマヤ・プラブフ(Maya Prabhu)は、次のように述べている。「医療施設であれ、遠隔地のアウトリーチ型ワクチン接種センターであれ、ドローンが目的地に到着したら、ドローンは着陸するかわりに、高度を下げて積み荷を上空から投下する。その後、積み荷のパラシュートが開いて地面に向かって降下し、幅およそ3メートルの着陸ゾーンに、安全かつ正確に着陸する」

ジップラインは、ガーナの医療インフラにおいて重要な役割を担ってきた。とりわけ、パンデミックのピーク時には、僻地における新型コロナウイルス感染症検査に関して、きわめて必要性の高い支援を提供してきた。

下の動画では、ジップラインのルワンダでの活動を紹介している。ジップラインはルワンダでも同様に、重要な医療アクセス計画を支援した。



ドローンの医療用途での利用が検討されるのは、今回が初めてではない。2020年10月のForbes記事では、医薬品大手のメルクが、米国カリフォルニア州を本拠とするドローン技術企業のヴォランシと提携して、定期薬をエンドユーザーへ、製造施設から効率的に配送する方法を開発することを報道した。
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翻訳=梅田智世/ガリレオ

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