Flytrexの創業者でCEOのYariv Bashは、ドローンや自動運転車による無人配送サービスが今後、細分化に向かうと考えている。「自動運転のミニバンでピザを配達するのは理に適っていない」とBashは言う。Flytrexは、近距離の即時配達分野に商機を見出している。
「我々は、郊外のショッピングモールを配送拠点として考えている」とBashは話す。遠方にある物流センターに比べると、ショッピングモールは住宅街の近くに立地し、来訪者の多くはFlytrexの飛行距離である5.6km以内に住んでいる。
Flytrexのビジネスモデルは、店舗のフルフィルメントプロセスを使い、配送をドローンが担うというものだ。店舗の従業員が配送依頼のあった商品を準備しておけば、Flytrexのスタッフが外で待機しているドローンまで荷物を運ぶ。ドローンは、顧客の自宅に到着すると、ワイヤーを使って荷物を下ろす。
Flytrexは、ドローン配送の安全性と運用に関する基準を設定するため、連邦航空局(FAA)を含む複数の規制当局と協議している。「我々の事業は規制対象であり、規制に基づいて活動する。当社は週に2回はFAAの担当者と電話で協議を行っている」とBashは話す。
Bashは、ドローン配送業界にとって、最大の障害は規制の枠組みを整備することだと考えている。「テクノロジーは80%が完成している。大きな問題は、低空を飛行する飛行機やヘリコプターと空域を安全に分割することだ。配送ドローンは、多くの場合小さすぎてパイロットから見えない」
現在、Flytrexでは40名の従業員が勤務しているが、その多くはイスラエルで勤務している。同社はこれまでベンチャーキャピタルから2000万ドル(約21億円)を調達している。シリコンバレーと比較すると決して大きな金額ではないが、コストが低いイスラエルで、同社は大きな成長を遂げている。
人間の配達員が1時間に2〜4件の配達を行うのに対し、Flytrexのドローンは同じ時間で10件の配達をこなすことができる。同社によると、規制が整備されてドローン配送が普及し、同社の事業が拡大すれば、2021年末までに月間1万件の配送をこなすことが可能だという。