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2021.07.04 08:00

高耐震性を科学解剖。あの「世界屈指超高層ビル」が衝撃に強い理由


免震構造には高い技術は不要で、多くのレンガや石造りの中層建築物に取り入れられてきたほか、コンクリート製の建造物の補強にも使われている。とはいえ、免震構造はどんな建物にも適しているわけではない。通常、免震装置の性能は、あくまで地上からの大規模な衝撃を吸収するだけだ。高層建築物は、たとえ免震装置があっても常に崩壊や倒壊の危険がつきまとう。高層建築物には、免震装置以外の対策も併用するといい。

耐震性の高い建造物5選


以下、世界の耐震性の高い建造物5選を選んでみよう。世界でも地震が多い国、日本の建造物が入らなったことは皮肉だ。

1. サビハ・ギョクチェン国際空港は、世界でも有数の地震に強い建造物だ。トルコの古都イスタンブールにあり、その耐震性にも定評がある。サビハ・ギョクチェン国際空港を含めてイスタンブールには国際空港がふたつあるが、北アナトリア断層付近に位置する。この空港は設計技術者オヴ・アラップの会社が設計したもので、免震装置を300基も採用することで、マグニチュード8.0まで耐えられるようになっている。

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2. トランスアメリカ・ピラミッドは、1970年代に建てられたカリフォルニア州サンフランシスコの象徴的ビルだ。その近くには、サンアンドレアス断層とヘイワード断層が走っている。1989年、この地域でマグニチュード6.9のロマ・プリータ地震が起きた際、トランスアメリカ・ピラミッドの最上階が左右に1フィート(30センチメートル)近く揺れる状態が1分以上続いた。それにもかかわらず、建物は倒壊せず、損傷ひとつなかった。優れた設計と免震装置の有効性がよくわかる事例である。

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3. ブルジュ・ハリファについては説明不要かもしれない。世界屈指の超高層ビルとしてご存じの方も多いだろうが、実は耐震性も高いビルなのだ。アウトリガーと呼ばれる強固な梁で周辺柱と壁をつなぐ構造になっている。周辺柱は、建物が受ける横向きの力に耐える役割を担っている。また、垂直に伸びている周辺柱は、重力の負荷にも耐えられるようになっている。

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4. 台北101は見事な建築設計で知られているだけでなく、実は世界一大きな同調質量ダンパーが組み込まれた建物でもある。同調質量ダンパーとは金属製の巨大な球体で、風や地震など一過性の高負荷を相殺することで、超高層タワーの受ける振動を和らげる役割を果たす。

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5. フィリピン・アリーナが位置するのは、世界一有名な活断層のある環太平洋火山帯沿いである。つまり、高層建造物が地震による被害を受けやすい地域だ。フィリピンでは、過去にマグニチュード8.2の地震が起きて2000人近くが死亡したこともある。また、この地域で発生した地震は、火山噴火や津波も引き起こしてきた。しかし、フィリピン・アリーナを覆う幅170メートルもの屋根は、地震や風、台風など一過性の高負荷に耐えられるよう設計されている。この地域では、衝撃を受けると構造物全体にかかる横向きの力は全重量の40%にも上るためだ。

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本記事は、英国のエンジニアたちが立ち上げたテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」からの転載である。

翻訳=加藤今日子 編集=石井節子

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