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「上場のための法人カード」UPSIDERが資金調達

米・Forbes「Fintech50 2020」、「Best Startup Employers 2021」44位に選ばれている、評価額26億ドルのスタートアップのBrex。21年1月に1億6500万ドル調達し、評価額16億ドルと話題となった、Divvy。20年12月、3000万ドル調達したRampをはじめ、コロナ禍で成長を加速している、企業の支払い・支出管理を担うスタートアップがいま、注目を集めている。

日本でも、UPSIDERが21年3月15日、ANRI、DNX Ventures、Global Brainら既存投資家から約10億円の資金調達を行なうなど、新しい流れが起きている。同社は20年7月、(1)最大1億円の高い利用限度額、(2)月次決算に漏れや遅れが生じない、(3)部門使用用途別に発行・明細管理可能、(4)不正利用の防止機能・補償付き──という4点を特徴にした、ベンチャー企業を対象にした、成長投資を行うための「上場のための法人カード」サービスを開始。

サービス開始から半年強の現在、創業期のスタートアップから上場企業まで数百社が利用し、月間の決済数は数万件を超え、決済額は月次50%以上の成長率で推移している。

「マーケティング活動やプッシュ型営業をしないで、成長してきた。強いニーズと価値提供できる市場があるという手応えを感じている。来期中の月間決済額10倍を目指して、エンジニア採用、マーケティングを強化し、さらにアクセルを踏む」と話すのは、UPSIDER宮城徹だ。

同社の資金調達は、20年6月の資金調達から1年以内での調達となる。

「カード・サービスではなく、財務・業務の課題を包括的にエンジニアリングで解決する『金融SaaS』だ。FinTech企業であり、(現在トレンドである)SaaS企業のような、ソフトウェア企業としての立ち位置で課題解決を行なっている」と宮城が話す背景にあるのは、取引構造の変化だ。

 マスメディア広告からインターネット広告へ。オンプレミスからクラウドへ。マニュアル・BPO・パッケージからSaaSへ。特定のサプライヤーからEC・マーケットプレイスへ。人員やオフィスを所有からフリーランスや共有オフィスへ。コロナ禍によるDX(デジタルトランスフォーメーション)の促進でより加速したこうした変化は、「流動性の低い取引構造」から「オープンで低コストの取引構造」への移行を生んでいる。

「地殻変動が起きている。オープンで低コストの取引構造では、銀行振込などの従来の決算手段ではなく、手間やリスクの少ない決算手段としてのカード払いなどの需要が増加している。グローバルなプラットフォーマーへの支払いも、限度額やガバナンスという観点から法人カード払いが主流となっている。企業における事業成長、ガバナンスにおいて法人カードができることは多い」(宮城)

米国では、マスターカードやペイパルの時価総額の伸び率がグーグルやフェイスブックを上回るなど、成長率の高い産業セクターだ。また、米国法人カード市場は、19年からの5年間で、170%成長をするという調査結果もあるため、同市場に挑戦するスタートアップにも、約700億円超の投資が集まっている。米国で複数のユニコーン企業を生んだ同領域が日本でも盛り上がる機運が高まっている。


左から2番目がUPSIDER代表取締役宮城徹

関連記事:UPSIDERの創業ストーリー「上場のための法人カード」事業から法人間決済に変革を、スタートアップの挑戦

文=Forbes JAPAN編集部

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