ウォルマートによれば、米国でつくられた製品を支援するために、国内調達に切り替えたり、既存サプライヤーへの発注数を増やしたり、新規サプライヤーに発注を行ったりするという。同社が米国製で最も競争力があるものとして挙げたのは、国内で入手可能な原料である綿やプラスチック、金属などを使用した製品や、高度に自動化された工程でつくられた製品、輸送が非効率な製品だ。
この取り組みにより、雇用が増加することに加えて、環境にもプラスの効果が出る。消費者により近い場所から製品を調達することで、1億トンの二酸化炭素(CO2)が排出されずに済むという。
ウォルマートは今回の投資によって、米国を拠点とする小規模事業者や多種多様なサプライヤー、販売業者へのチャンスも開かれるとしている。同社は、「Open Call」というイベントを開催し、9000の起業家に対してウォルマートのベンダーになるチャンスを提供する計画だ。
「Open Call」は、米国の労働者が製造した既存製品を販売する人なら誰でも、ウォルマートに売り込むことができる場で、2021年6月30日にオンラインで開催される予定となっている。
ウォルマートはこれまでも、国内製品に力を入れる取り組みを行ってきた。1980年代には、米国製品の購入を呼びかけるキャンペーン「Crafted With Pride」に参加。報道によると、ウォルマートはその際に、輸入品を20%削減した。しかしその後は、世界進出と、「エブリデー・ロー・プライス(毎日低価格)」を掲げたビジネスモデルを推進するために、取り扱う輸入品を増やし始めた。
2013年になると、ウォルマートは一転して、10年間で2500億ドルを米国製品に投じると発表した。その当時すでに、仕入れ品の3分の2が米国製・米国産だったという。
ただし2021年3月3日の発表で、ウォルマート米国部門の最高経営責任者(CEO)兼社長ジョン・ファーナー(John Furner)は次のように述べた。「私たちは、米国製品に注力するという約束を果たす方向に向かってきた。だが、できることはほかにもある」