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Photo by Jeremy Moeller/Getty Images

ラルフローレンは高級ファッションブランドとして初めて、独自の商品レンタルサービスを開始した。「ザ・ローレン ルック」と名付けたプログラムを北米市場で展開している。

果敢な取り組みと言えるこのプログラムは、欲しいものを好きなように購入するのが難しい次世代の消費者のためにカスタマイズされたものであると同時に、正規価格で購入する余裕があり、より容易に毎シーズンの新作ファッションを手に入れたいと望む裕福な顧客にとっても魅力的なものだ。事業が順調に進めば今後、対象地域を北米以外に拡大する可能性もある。

「ザ・ローレン ルック」は、定額制で月額125ドル(約1万3500円)のサービス。ファッションレンタル事業の先駆けであるレント・ザ・ランウェイ(Rent-The-Runway)の同89ドルより高額だが、レンタル期間が設定されておらず、顧客は好きなタイミングで商品を返却することができる。

バーチャルクローゼットから好きなアイテムを一度に4点まで選ぶことができ、それらをすべて返却すれば、新たに別の服をレンタルすることができる(欲しいものがあれば割引の会員価格で購入し、そのまま手元に残すことも可能)。

また、各アイテムにはレンタル品として利用する期間があらかじめ設定されており、その期限がくれば、貧困世帯に衣服や家具、おもちゃや学用品などを提供する米慈善団体、デリバリング・グッド(Delivering Good)に寄付されることになっている。

専門家は高く評価


消費者の間に広がる新たなニーズに応えようと、こうした大胆な一歩を踏み出し、ビジネスモデルを修整したラルフローレンは、称賛に値するだろう。レンタルを可能にすることで、顧客は次々と新たな衣服を購入し、着なくなった服でクローゼットを溢れさせずに済むようになる。

また、ラルフローレンにとってこの新事業は、「破壊される前に自ら破壊」する戦略の一環でもある。同社の売上高は2020年第3四半期(10~12月)、競合他社の多くがコロナ禍の影響から立ち直りをみせはじめる中、18%減少している。

新サービスにはリスクを上回るメリット


一方、レンタル事業にリスクがあることは明らかだ。新作の販売数の減少につながる。「ザ・ローレン ルック」は基本的に、同社で最も損失を出す部門になると考えられる。

だが、このプログラムは同時に、これまで価格を理由に同社の顧客になることがなかった消費者に、ラルフローレンを知ってもらうきっかけになる。高級品・サービスが専門のコンサルタント会社、ニューヨークを拠点とするラグジュアリー・インスティテュートは、「購買力に制約がある一方で先入観を持たない若い世代の利用が見込める」と指摘する。

さらに、このプログラムはラルフローレンが「消費者のニーズの変化を感知し、予測し、対応することにおいて、アジリティ(敏しょう性)を備えていることを示すものだ」とも述べている。

会員制のこのレンタルプログラムは、ラルフローレンに顧客のニーズや好みの変化を把握する機会を与える。そして、市場調査とブランド構築、新規顧客の獲得に向けた戦略のすべてに貢献するものとなる。

このプログラムを通じて得た見識は、次のシーズンの計画に向けフィードバックを提供するものとなるはずだ。ニーズのあるスタイルの予測や、それに応じた在庫調整も可能になるだろう。さらに、収集したデータは新ラインのローンチにも有用な情報となり、同社に好循環を生み出すと考えられる。

編集=木内涼子

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