始まりは書籍のネット通販
ベゾスが最初に挑んだのはボーダーズやバーンズ・アンド・ノーブルといった大手書店チェーンだった。アマゾンは1994年7月に書籍のネット通販を開始。3年後に上場した時の在庫は250万冊超、年間売上高は1億4800万ドルで、在庫回転率は42回とバーンズ・アンド・ノーブルの2.1回を圧倒していた。
「アマゾン・ドット・コムは実世界には存在できません」。ベゾスはフォーブスに最初に登場した1996年にそう語っている。「100万冊規模の書店がやっていける大都市圏はおそらくないでしょうから」
ただ、ベゾスは書籍だけでとどまるつもりは毛頭なかった。1998年までに取り扱い品目をCDやDVD、衣類、玩具、オフィス製品などに拡大。ベゾスも壮大な野心をほのめかし始め、それまでの看板だった「地球最大の書店」を引き下げ、「地球上で最も豊富な品揃え」を誇るオンライン小売店を名乗るようになる。
サードパーティセラーの受け入れ
1999年、アマゾンはサードパーティセラーと呼ぶ外部の販売事業者にマーケットプレイスを開放し、アマゾン自体が販売する商品と直接競合するようにした。サードパーティセラー(中小企業が大半)は今ではアマゾンの屋台骨になっており、売上高に対する割合は10年前の倍の約60%を占めている。
翌々日配送を業界標準に
2005年、ベゾスは年間79ドルで無料の翌々日配送を利用できる新たな会員プログラム「アマゾン・プライム」を導入した。これをきかっけに、ネット通販の利用者は無料の翌々日配送を当然のものとして期待するようになり、競合他社もすぐに追随することになった。
アマゾンは商品の梱包や発送などを行うフルフィルメントセンターを全米で100カ所以上擁し、なお他社の一歩先を行っている。さらに米郵政公社(USPS)に匹敵する規模の輸送手段も整備しており、コンサルティング会社のシップマトリクスの推定では荷物の3分の2を自前で配送している。