コロナ禍がトリガー引いた「スポーツ産業の変革」リーダーたちはこうみている|PwCスポーツ産業調査(上)


従来型の収益フローへの依存ではもう通用しない


今回の調査を監修したPwC SwitzerlandのDavid Delleaによると「スポーツ組織は収益の流れを見直す必要がある点ではっきりとコンセンサスが得られている。メディア、スポンサーシップ、チケットのような古いタイプの収入の流れへの依存ではもう通用しない」と述べている。

日本国内の動きとしても、このCOVID-19影響下においてリモート応援やバーチャルスタジアム等の新たな観戦スタイル、投げ銭やクラウドファンディングを介した資金調達など様々な実験的な試みが見受けられる。

現時点では、まだ収益源と呼ぶには至っていないものの新たな可能性の模索をしている途上であり、こうした取組みを通じてスポーツ組織が様々な企業や関係者と新たな協業の仕組みを生み出す素地が育まれている段階とみることが出来る。

PwCコンサルティングが一般社団法人日本トップリーグ連携機構と共同で2021年2月に調査を行った結果では、スポーツを支援する国内企業関係者のうち実に4割が「支援を継続しない/支援継続したいが規模・内容の見直しが必要」と回答している。


[今後もスポーツへの支援を継続する意向はあるか?]N=200

こうした点を踏まえると、COVID-19という災厄はスポーツ組織と企業の関係を改めて見直し・再定義するトリガーを引いたということが言えるかもしれない。

>> 加速する「スポーツメディア・コンテンツの複雑化」大いなる再統合の時代へ|PwCスポーツ産業調査2020(中)
>> スポーツ業界は「eSports」とどう付き合うべきか?|PwCスポーツ産業調査2020(下)


菅原政規◎PwCコンサルティング合同会社シニアマネージャー。2005年より現職。中央省庁等の公共機関に対するコンサルティングに携わり、調査、業務改善、情報システムに至る案件を多く手がける。近年は、スポーツ政策及びスポーツ関連企業・団体向けのコンサルティングを実施。PwCが毎年発行する「PwCスポーツ産業調査」の日本版監修責任者。早稲田大学スポーツビジネス研究所招聘研究員。

文=菅原政規、安西浩隆、土斐崎豪

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