戦慄のシーンですすめられたのは……
1980年公開のホラー映画「シャイニング」のあのシーンを再現したのは、炭酸飲料のマウンテンデューだ。
狂気に陥ってしまった男が三匹の子ぶたの物語を唱えながら、斧を振りかざしてドアを突き破ってくるシーンは戦慄だが、CMのジャックは「新商品のマウンテンデュー・ゼロシュガーがあるよ。オリジナルと同じリフレッシングな味さ」と唱えている。ドアを突き破った後は、女性にマウンテンデューを差し出し、ご満悦の様子。砂糖ゼロの新商品をすすめたかっただけのようだ。
コピーには「As good as the original, maybe even better?」とあり、砂糖ゼロでも従来の商品と変わらずおいしいことをアピールすると共に、名作映画をオマージュしたCMであることと二重の意味を理解できる。
相棒はハーレーからベンツに
イージー・ライダーならぬ「イージー・ドライバー」として、ワイアットがベンツのエンジンをふかせて登場した。
曲がかかると、まさに「ワイルドでいこう!(Born to Be Wild)」といった雰囲気の屈強な男たちの様子が映し出される。しかし彼らは老眼鏡が必要だったり、肩を痛めてしまったりと、1969年の公開時にワイアットに憧れてバイカーになったのだろうと思わせるシニア世代たちだ。
そんな彼らの目の前に颯爽とワイアットが登場する。半世紀近い時をものともしないクールかつワイルドな彼に、思わず「Still looking good……」
ワイアットを演じたピーター・フォンダは無類のベンツ好きだと言い、自身がこれまでに乗ったベンツの思い出を語る動画も、併せて公開されている。
2015年のデロリアン?
「2015年10月21日」──この日付けにピンとくる人はいるだろうか。
そう、「バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2」でドクとマーティが向かった未来の日だ。
マーティたちが見た2015年では、指紋認証システムを使い、温めると好きな大きさにピサを拡大できる機械を使ったり、空飛ぶ車が頭上を行き交ったりしている。実現しているものもあれば、まだまだ遠い未来のものもある。
そんな映画史のメモリアル的な日付けである「2015年10月21日」に合わせて、自動的に靴紐がしまる靴や、浮遊するホバーボードなど夢のある商品が企業から発表された。
トヨタUSAも同日に合わせて燃料電池車「トヨタ MIRAI」を発表し、5分間のプロモーション映像には、マーティを演じたマイケル・J・フォックスとドクを演じたクリストファー・ロイドが出演した。
オリジナル版ではゴミを燃料にして発電する技術「Mr.Fusion」がデロリアンに搭載されているが、トヨタ MIRAIもゴミから発生したバイオガスを集めて生成した水素を燃料に走る。映画が公開した1989年当時、まさか本当にゴミを燃料にする車が登場すると、ドクたちは予想していただろうか。
CMは「僕は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の大ファンだ。特にあのクレイジーな未来の技術の虜で、科学の道に進んだんだ」と語る科学者が、ドクとマーティにトヨタ MIRAIの技術を紹介するというもの。オリジナルシリーズのネタを随所に見られるのも楽しい。