アメリカを代表する大企業がスーパーボウルのために制作する特別CMも見どころで、試合中に流れたCMは毎年メディアが取り上げ話題となる。ちなみにスーパーボウルの視聴率は毎年40%を超え、試合間のCM出稿料は30秒間で約6億円と言われている。
今年なんといっても話題となったのは、キャデラックの90秒間のCMだろう。1990年に公開され、カルト的人気を誇る映画「シザーハンズ」のその後が描かれた。
もっと正確に言うと、シザーハンズの主人公であるエドワードの息子の物語が描かれた。エドワードのハサミの手を受け継いだ息子は、キャッチしたボールを破って潰してしまったり、手に磁石がくっついてしまったりと、手がハサミゆえに日常生活に困難が多い。そんな息子にプレゼントされるのが、ハンズフリーの部分自動運転が可能なキャデラックだ。
息子を演じたのは「君の名前で僕を呼んで」や「ストーリーオブマイライフ わたしの若草物語」などに出演の、いまをときめく若手俳優ティモシー・シャラメだ。映画でヒロインを演じたウィノナ・ライダーが、今度は母親としてキム役を再演したことも胸熱なCMだった。
このように、時を超えて名作映画をひとときだけ復活させるコマーシャルはほかにもある。
E.T.が地球に帰ってきた!
2019年には、E.T.とエリオット少年が37年ぶりの「再会」を果たした。
インターネット事業やストリーミングサービスを行うコムキャストの子会社、X finityが「A Holiday Reunion」と題してショートムービーを制作。再び地球のエリオットのもとを訪れたE.T.が、ストリーミングサービスで映画を見たり、VRゲームを楽しみ、ホリデーのひとときを過ごす様子が描かれている。
オリジナル映画でエリオット少年を演じたヘンリー・トーマスが、37年の時を経て2児の父となったエリオットを再び演じた。
ショートムービーの最後にはE.T.は宇宙船に乗って宇宙に帰ってしまう。E.T.もいまでは宇宙に家族をもっているのだ。37年前と同じく「I’ll be right here……」の言葉を残して。
この他にも映画史に残るアイコニックなシーンが、今度はエリオットの子どもたちに引き継がれて描かれており、心温まる作品だ。
38歳でホーム・アローン アゲイン!
映画の「その後」を描くほかにも、オリジナル版とそっくり同じシーンを本人が再現したCMもある。ホリデームービーの定番「ホーム・アローン」のケビンが、28年の時を経て帰ってきた。ケビンを演じるのはもちろんマコーレ・カルキン。作中の名シーンを完全に再現してみせた。Googleアシスタントがケビンの「悪だくみ」をアシストする点以外は。
2018年に公開された同CMは、Googleアシスタントの広告として制作された。ケビンが「Hey Google」と呼びかけるとGoogleアシスタントが予定を教えたり、買い物リストに商品を追加したりする。
シリーズ一作目公開の1990年当時10歳だったケビンは、CMが公開された2018年にはもう38歳。ひげを剃ったり、ベッドの上で飛び跳ねると腰を痛めてしまったりと、コミカルな仕上がりだ。
10歳のオリジナル版ケビンと38歳のケビンを比較できるメイキング動画も必見だ。