その際に話題にのぼった暗号通貨の1つは、私がこれまで話したことがなかった他の投資家も言及していたもので、すべての関係者の認識は一致しているようだった。すなわち、「ポルカドット(DOT)」こそ、今最も熱い支持を集める新たなオルトコイン(ビットコイン以外の暗号通貨)ということだ。ポルカドットは、あらゆる面でオルトコインとして好ましい特徴を備えている。
スイス生まれの暗号通貨ポルカドットは、「ブロックチェーンのブロックチェーン」とされており、「イーサリアム・キラー」と呼ばれることも多い。イーサリアム(ETH)は、取引高でビットコインに次ぐ、第2位の座にある暗号通貨だ。だが、ほぼ無名の存在だったポルカドットは2021年1月、88%の値上がりを記録。値上がり幅に関しては、イーサリアムのそれ(50%)を大幅に上回った。
ただし、ビットコインの対抗馬となるオルトコインという意味でのイーサリアムの地位は、いまだに揺らいでいないように見える。今のところ、イーサリアムを出し抜く暗号通貨は現れていない。ポルカドットがここに割って入ることは可能だろうか?
「もちろん可能だ」と語るのは、リーフ・ファイナンス(Reef Finance)の最高経営責任者(CEO)で共同創業者のデンコ・マンチェスキ(Denko Mancheski)だ。「ポルカドットは、現在イーサリアムが占めているオルトコイン市場での地位を奪う、絶好の位置につけていると私は確信している」と同氏は語る。
マンチェスキらは、投資先をポルカドットに一本化している。その理由について同氏は、「イーサリアム・ブロックチェーン内における開発のペースが遅いためだ」と説明する。マンチェスキは、「シャーディング」や「ステーキング」といった、暗号通貨にフルタイムで向き合う投資家や開発者しか知らない専門用語を交えながら、事情を解説してくれた。
開発遅れの問題は、以前からイーサリアムに重くのしかかっていた。開発者から最も支持されてきたこのブロックチェーン(イーサリアム)の生みの親は、ロシア生まれでカナダ在住のプログラマー、ヴィタリック・ブテリンだ。ブテリンは、カナダのウォータールー大学をドロップアウトしたのち、2014年にイーサリアムをローンチした。
一方、ポルカドットは、スイスにあるWeb3 Foundationによって立ち上げられた。このオープンソースの分散ネットワークは、かつてイーサリアムの最高技術責任者(CTO)を務めたギャビン・ウッド(Gavin Wood)と、ロバート・ハーバーマイヤー(Robert Habermeier)、ピーター・チャバン(Peter Czaban)の3人が作り上げたものだ。