イノベーション・エコシステムの内側

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世界中の優れた人材、技術、資本の集積地として数々のイノベーションを起こしてきたシリコンバレーは、コロナ禍にどう変化したのだろうか。

シリコンバレー・インサイダーの異名を待つMichelle E. Messina 氏に、シリコンバレー在住のイノベーション・エコシステムのエキスパートたちの生の声を聞いていただいた。

ミシェルの写真
Michelle E. Messina|起業家精神、イノベーション、スタートアップのエコシステムに関するオピニオンリーダー。ベストセラー『Decoding Silicon Valley.The Insider’s Guide』の共著者。

2020年3月19日にカリフォルニア州がロックダウン状態になってからおよそ1年が経過し、混雑した電車や高速道路のラッシュアワーは過去の風景となった。リモートワークが当たり前となり、Salesforceは通勤が安全な場合でも、社員がフルタイムでリモートワークをすることを認めることを発表している。

それから、シリコンバレーから脱出する人達の影響もある。

2020年12月、HP EnterpriseとOracleの両社は、テキサス州への本社移転を発表。更に、DropboxのCEOであるDrew Houston氏は同じテキサス州オースティンに自宅を購入し、億万長者のCEOであるElon Musk氏もテキサス州への転居を発表した。なぜテキサスなのか?大きな要因の一つとして個人所得税が無いことが挙げられるだろう。米国で最も高い個人所得税を誇るカリフォルニア州(13.3%)と比較してみてほしい。

サンフランシスコの人のいない様子
人のいないサンフランシスコは全くその雰囲気が違う。photo by Michelle E. Messina

シリコンバレーを去るのは、従業員も同じだ。PublicCommentsSF.comによると、2020年3月から11月までの間に124131件の住所変更申請が行われており、これはロックダウン後にカリフォルニアを離れた8万9000世帯の人数にほぼ等しいという。また、Realtor.comによると、1年前と比較し、2020年9月までにワンルームマンションの賃料は30%以上下落、マンションも1人部屋が24%、2人部屋が21%それぞれ下落した。

Tesla、Hotmail、Preziなどの企業と関わってきたWhite-Summers法律事務所のMark White氏は「不満のうねりがある。カリフォルニア州にはお金と才能があるが、生活費、交通費、人件費などが高く、生活の質を重視する個人は州外に出て行っており、企業はそれらの人々を追いかけている」と語る。

文=森若幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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