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2021.02.01 08:00

東大発VCの圧倒的投資力が、海外スタートアップとのオープンイノベーションを可能に

日本の投資家は、海外のスタートアップに投資をすることで、日本との協業をどのように図っているのだろうか? 東京大学と提携するベンチャーキャピタルである「東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)」のプリンシパルでありForbes Asia 30 Under 30 受賞者のKiran Mysore氏、UTEC代表取締役社長マネージングパートナーの郷治友孝氏、デロイトトーマツベンチャーサポート シニアコンサルタントのVinod Vasudevan氏に話を伺った。

UTECの海外スタートアップ投資事例


UTECは、東京大学と提携しながら、約550億円のAUM(資産運用額)と110以上の投資先を擁する独立系ベンチャーキャピタルだ。Mysore氏は、主にインド、シンガポール、米国といった海外のDeep-techスタートアップに、およそ2500万ドルに及ぶ投資を担当している。以下に、投資事例を挙げる。

世界への投資実績マップ
世界へ投資するUTEC

Tricog

インドとシンガポールで活動するヘルスケア・スタートアップのTricog社は、AIを活用したECG(心電図)と心臓超音波の分析結果を用いて、遠隔で心臓病を診断できるソリューションを提供。UTECは、日本の医療機器メーカーと協力しながら、同社がインド、東南アジア、アフリカでオープンイノベーションを行うことを支援。同社がこれまでにこれらの地域で診断した患者数は400万人を超えている。同社と提携する日本の医療機器メーカーも、アジアの急成長市場において、これまでの売り切りのデバイス販売事業とは異なる新しい収益源を確保することができている。

Bugworks

インドにあるBugworks社は、抗菌剤耐性の世界的危機の解決を目指し新規抗生物質の開発を行っている。UTECは、日本の製薬会社との提携や東京工業大学の村上聡博士とのパートナーシップを支援した。

OPALai

在シンガポールのフィンテックスタートアップであるOPALai社は、機械学習とディープラーニングによる統計的手法を用いた先物の価格、ヘッジ、トレーディング戦略を立案するデジタルプラットフォームを提供。同社取締役Pravin Chandrasekaran氏と日本代表の牧瀬太郎氏は、「OPALaiは、重要な成長市場である日本におけるコモディティ業界のDXに貢献することを望んでいる。コモディティ投資は伝統的アセットクラスとは異なるリターンを生むため、当社の投資用プロダクトを通じて、日本の投資家による分散投資とアルファ獲得に貢献できればと考えている。また、当社のヘッジ用プロダクトは、これまで積年の課題であった、流動性の乏しい非上場商品のヘッジを可能とするものであり、多くの企業に活用いただきたい」と述べている。

Mysore氏は、「OPALai社とは、シンガポールのある投資先の顧問弁護士からの紹介で出会った。同社は創業直後から、投資とヘッジ用のデジタルプロダクトを欧州、米国、ブラジル、シンガポールで展開していたが、日本を重要な成長市場と捉えて日本のコモディティ業界のDXに貢献したいとも考えていた。そこで私たちは、同社が日本の商社、製造業、金融機関と関係構築できるように支援し、ヒューマンリソース面でも、UTECで運営するStartup Opportunity Club (SOC)というスタートアップ参画候補者向けのプログラムを通じて、のちに日本代表となる牧瀬氏を紹介した。このようにUTECは、同社の営業活動や人材獲得の一翼を担ってきた。」と語る。
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文=森若 幸次郎 / John Kojiro Moriwaka

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