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自分の言葉を持つ人の発信力が地方動画を変える/Nagano City Trip第1弾YouTuber 関根りさ

新型コロナウイルスがもたらした行動制限は、観光業や関連従事者に打撃を与え、地方都市・自治体に影を落とした。三密を避ける工夫を凝らし、万全の受け入れ体制を整えても今まで同様の集客は見込めていない現実がある。国は自治体に対し、緊急支援として、地方創生臨時交付金を実施しているが、交付金がどれほど役に立つかは自治体の「知恵」が必要になる。

長野市は、動画によるプロモーション「Nagano City Trip」で成果をあげている。動画それ自体が既視感のある取り組みにもかかわらず、第1弾の閲覧数は16万PVを超え、関連すると思われる若者の流入が増加。「見たことのない若い人たちが増えた」という地元の声に、市は手応えを感じているという。

自治体の作成する動画は決して新しい取り組みではない。むしろ、一時の盛り上がりが失われている印象もある。なぜ、長野市は成果をあげることができたのか。その一切を仕掛けた長野市商工観光部観光振興課の荒井敏幸と竹内雄太に話を聞いた。

長野市の二人の担当者
長野市 商工観光部 観光振興課 荒井敏幸(左)竹内雄太(右)

長野市は、コロナ禍直前に2040年を目標とした「長期戦略」を打ち出していた。コロナの影響は出ているものの、都心からの交通の便もよく、観光地も多い同市はこの基本計画に則り観光都市としてのロードマップの実現に動いていた。

「長野市は善光寺や戸隠(とがくし)など多くの観光地があり、当初、アフターコロナの旅行先として当地を選んでもらおうと考えていたのですが、アクセスが良く、近場で『密になりにくい』場所が多いことから、むしろwithコロナ時代の観光に適しているとして施策を考えました」(荒井)

善光寺も広々としているし戸隠はキャンプでも人気だ。少し足を伸ばせば白馬もある。

「ただ、観光にしめる若年層の割合は低く、将来に向けてここをボリュームゾーンとして増やす必要がありました。withコロナ時代の観光に適している場所だということを、デジタルネイティブである若い人たちに伝え、『未来の長野ファン』を作る目的です」(竹内)

地域のブランディングから移住、定住、そして観光に至る都市の魅力を醸成するシティ・プロモーションの中核にある2040年への長期プランは、2020年以降の10年を「挑戦期」として位置づけ、新しい試みに着手した。それが地方動画によるプロモーションだ。

動画黎明期でも数字を残すのは難しい


自治体による動画プロモーションは、決して新しいものではない。

少し懐かしさも感じられるが、2006年に〈ひこにゃん〉が登場し、その後2010年代以降〈くまもん〉や〈ふなっしー〉の登場で「ゆるキャラ」のブームが訪れた。地域貢献の重要なキャラクターとして未だ多くのキャラクターが現役だが、この同じ時期に、全国の自治体の多くが「ご当地動画」に注力し始めた。その背景にあるのはYouTubeの隆盛だ。チャンネル登録者数890万人のHIKAKINが、その登録者数10万人を超えたのがふなっしー登場の2013年。多くの人にメディアとしての価値が理解され、企業や自治体がこぞってプロモーションの第一メディアと位置付け始めた。

地方動画の傾向として3種類あるように見える。ひとつは、高画質で地元の観光地を紹介するヒーリング要素たっぷりの綺麗な動画。そして、話題の芸人や地元出身タレントを起用したストーリー仕立ての動画。もうひとつは、大分の温泉地とシンクロを掛け合わせた動画などに見られる、クリエイティブを駆使しコンセプトを強調するものだ。

文=坂元耕二

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