彼らが設立した「ドラコ・キャピタル・マクロ・クオンツ・ファンド」はすでに5000万ドル(約51.5億円)を調達しており、2021年末までに2億ドルの調達を目標にしている。9月にデビューしたこのファンドは、AIのアルゴリズムを使って、強気相場と弱気相場の両方に適した資産運用を行うという。
チェンによると、このファンドで用いられるAIやビッグデータプロセスの多くは、彼がシリコンバレーで仕事をしたり、アドバイスをした企業で採用されていたものだという。「強気相場では、アップルやマイクロソフトなどの大手ハイテク企業を重視し、弱気相場では金や長期国債などのディフェンシブな資産を重視している」と彼は話した。
チェンによると、このファンドの「システマティックな投資」のプロセスは、意思決定の正確性を高めるもので、経済分析と投資ロジックをコンピュータ・アルゴリズムと混合し、AIを基盤とした意思決定モデルを作成するという。「このファンドは人間の判断に基づく主観的な取引をシステム化し、ダウンサイドリスクを軽減する」と彼は述べている
チェンは昨年、ファンドのパートナーと出会い、フーがビッグデータを用いて投資を管理する方法を熟知していることを知ったという。「それがきっかけで、自分の専門的な知見を金融分野に応用したいと思うようになった」と彼は話している。
彼らは、フーが2015年に始めたドラコ・キャピタル・パートナーズの共同オーナーとして、デラウェア州で登録された新たなファンドの運営を行っている。チェンとフーは、マクロ・クオンツ・ファンドの最大の出資者だという。台湾で投資マネージャーを務めるフーは、以前にヘッジファンドを率いた経験があり、新たなファンドでアナリストやデータサイエンティスト、コンピュータエンジニアたちを率いている。
「私たちは、独自の先行指標で市場を予測し、それに応じて保有資産を配分できる」とフーは話した。
台湾生まれのチェンは2005年に、ペイパル時代の同僚のチャド・ハーリーやジョード・カリムと共にユーチューブを設立し、CTOを務めていた。彼はその後、2014年から2018年にかけて、グーグルベンチャーズに在籍した後、2019年に台湾に戻り、母国の起業家を支援する活動を行っていた。