今後期待できるクリーンで再生可能なエネルギー分野のトレンド

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辞書サイト「dictionary.com」の一般投票で、2020年を象徴する言葉に「unprecedented(前例のない、前代未聞の)」が選ばれたのには理由がある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は現代の危機だ。米国では、死者数がいまや第2次大戦の犠牲者数を上回っている。今後数年間は、予測できない影響が幅広くおよぶことは間違いない。

パンデミックによって、人々の仕事や暮らしは変化している。テクノロジーは、今後数年のあいだに、そうした変化を反映する必要がある。クリーンエネルギー分野と再生可能エネルギー分野も例外ではない。

2020年12月に筆者が寄稿した米Forbes記事でも触れたように、2020年はクリーンエネルギー分野が大いに沸いた年だった。米電気自動車メーカーのテスラがS&P500種株価指数の構成銘柄に選ばれたことは、クリーンエネルギー業界にとっての歴史的快挙であり、「グリーン・ウェーブ」は勢いを増す一方だ。

こうした状況は、2021年にとってどんな意味を持つのだろうか。働き方がリモートへと切り替わり、米国では政権が交代し、新型コロナウイルスのワクチン開発が進んでいる。こうした状況からは、明確で期待の持てるトレンドが浮かび上がってくる。

クラウドへの移行


米スタンフォード大学の調査によると、米国では2020年6月時点、労働者の42%がリモートワークをしていた。一方で、働いていない人が33%存在していたが、その主な理由はロックダウンに起因する景気後退だった。こうした状況は、労働者にとって何を意味するだろうか。

目に見える(そして今後も続くであろう)変化のひとつが、リモートでの経営や管理の可能性を最大化し、人間の交流と人による介入を最小化するような「クラウドへの移行」だ。

企業は、スマートなオフグリッド・システム(電力の自給自足)へと移行することで、最終的にコストを削減し、セキュリティを強化できるようになるだろう。なぜなら、何か問題が生じそうになった場合、顕在化する前に解決できるし、高価でリスクのある、対面での修理サービス依頼をしなくてすむようになるからだ。

さらに、市場がいまや認識していることだが、送電・配電システムが廃止されれば、カーボン・フットプリントが大幅に削減される。太陽光発電への移行と同等か、それ以上の効果を得られる可能性がある。

バイデン新政権


筆者は、米大統領選挙戦の最中だった2020年10月の記事で、ジョー・バイデンが大統領に就任した場合、再生可能エネルギー分野にはどのような影響があるかを述べた。そして、バイデンが大統領に就任したこれからは、「クリーンエネルギー革命と環境正義のためのバイデン計画」が推進されることになる。この計画は、今後10年間で4000億ドルを研究開発とイノベーションに投じ、クリーンエネルギーをめぐる世界的な競争において米国を後押しするものだ。

つまり、米国では今後、再生可能エネルギーと電気自動車の普及が加速し、国内のクリーンテクノロジー分野とクリーンエネルギー製造分野の成長が促進されていくということだ。それが雇用にもプラスの影響を与えることが期待されており、業界はそれをより広い市場に対して証明してみせる必要がある。

世界的なレベルでは、国際協調と輸出が再び重視されるようになる。バイデンは約束を果たし、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」に米国をついに復帰させた。彼の推し進める外交政策がプレッシャーとなって、同盟国は、クリーンテクノロジーと二酸化炭素への取り組みに、米国と同様に投資するよう迫られるだろう。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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