Photo by Jahi Chikwendiu/The Washington Post via Getty Images

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、2020年の心理学トレンドに急速な変化をもたらした。シロシビンやMDMAを用いた心理療法が注目されるはずだった1年は、いまや、新型コロナウイルス感染症が認知機能に恒久的な影響を及ぼす可能性を検証する1年になってしまった。また、PTSDの診断基準を満たす医療従事者の数も危険なほど増えている。

シロシビンを利用したうつ病治療


大うつ病性障害の治療では、「マジックマッシュルーム」として知られるキノコに含まれる幻覚剤シロシビンを併用する心理療法が検証されている。

ジョンズ・ホプキンス大学病院の研究では、心理療法と併用してシロシビンを2回投与すると、ほとんどの研究参加者においてうつ症状が急激かつ大幅に軽減されることが示された。研究参加者の半数は、4週間の追跡期間を通じて症状の軽減が続いた。オレゴン州は最近、医療目的でのシロシビンの使用を合法化する最初の州になった。

MDMAを利用したPTSD治療


「エクスタシー」とも呼ばれる合成麻薬「MDMA(3,4-メチレンジオキシメタンフェタミン)」を心理療法と併用すると、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の治療に効果があることが示されており、患者向け施設に滞在している人々に対する外来診療として行われている。この治療法は、現在第3相の臨床試験が実施されている。

MDMAを用いた療法は、2017年に米食品医薬品局(FDA)によって「画期的な治療法」に指定されている。これはつまり、深刻な症状や、命を脅かす症状をMDMAによって治療できるとFDAが判断したことを意味する。予備的な研究では、MDMAを用いた治療により、認可済みのほかのPTSD治療法を大幅に上回る改善効果が得られる可能性が示されている。

MDMA支援療法によるPTSDの治療は、30年間で1億320万ドル(1000人あたり)の損失を防ぐと見積もられている。質調整生存年(QALY)についても、1000人の合計で918 QALY向上するという。QALYは、治療によって延びる生存年数と、治療の結果として得られる生活の質の高さを示す指標だ。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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